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2008-12-08-Mon- [シリーズ]その時あなたは 1.新型インフルエンザの恐怖

[シリーズ]その時あなたは
1.新型インフルエンザの脅威

 今、世界は新たなパンデミックを恐れている。もし、新型インフルエンザの人に対する感染が確認されれば、世界は大混乱に陥るだろう。第1日目はこれから起こりうる新型インフルエンザの恐怖についてである。


●鳥インフルエンザ

 今騒がれている鳥インフルエンザ(H5N1亜型)というのはすでに人への感染が確認されている。日本では鳥への感染だけでなんとかおさめているものの、衛生状態の悪い地域で流行する恐れもある。そもそも鳥インフルエンザというのは過去に幾度も発生し、形を変えて時によっては人への感染も確認されている。最近発生している鳥インフルエンザだが、ある事例ではH5N1亜型への感染を疑い検査をしたところ、陰性反応がでた。これによって、すでにH5N1型とは違う型が発生しているという懸念もある。鳥インフルエンザが人に感染しやすいものに変異して新型インフルエンザのパンデミックに繋がることもある。また、鳥インフルエンザが豚に感染し、人間がかかったインフルエンザもその豚に感染した際に、豚の中で変異が起こりそれが人間に感染するという可能性もある。


●新型インフルエンザの猛威

 WHO(世界保健機構)によると、新型インフルエンザのパンデミックが発生した場合、世界中で最大1億5000万人の死者が出る恐れがあるとしている。米国疾病予防管理センターの推計モデルをもとにすると、日本国内においては羅患3200万人、死者17~64万人が出ると予測される。210万人が死亡するかもしれないと観測するシンクタンクもある。新型インフルエンザはいつパンデミックしてもおかしくはない。新型インフルエンザは、既存の毒性の強いインフルエンザウイルスが人体に感染しやすいものへと変異して、それが人から人へ感染すると瞬く間にパンデミックが発生する。特に、100年、200年前と比べて航空機の発達や人の移動の増加によって格段にパンデミックのリスクが高まっている。地球の反対側からウイルスがやってくるのに時間はかからない。それが次なるパンデミックの恐ろしいところでもある。


●WHOによるフェーズ分類

 ここで、WHOが策定している各フェーズの定義を紹介しておく。

 ・フェーズ1…人への感染リスク低(トリ→トリ)
 ・フェーズ2…フェーズ1よりリスク高(トリ→トリ)
 ・フェーズ3…ごく一部(家族内など)でのヒト→ヒト感染あり
 ・フェーズ4…ヒト→ヒト感染の小さな集団あり
 ・フェーズ5…ヒト→ヒト感染が拡大しているが依然大流行はしていない
 ・フェーズ6…パンデミック(ヒト→ヒト増加)、2回目の大流行までの期間と2回目のパンデミック

 フェーズ決定はWHO事務局長が逐次行う。現時点でのフェーズは3となっている。


●ワクチンの効果

 新型インフルエンザのパンデミックがある前にワクチンが欲しい、と思うかたがいるかもしれないがそれは不可能である。何故なら、新型インフルエンザの感染が確認されなければそれに対するワクチンを作りようがないからである。しかも、パンデミックが起きたとしても、その新型に対するワクチンができるまで最低でも6ヶ月かかるとされることから、国民がすぐにワクチンを摂取することはできない。ならばもうどうしようもないではないか、という声が聞こえそうだが手だてはないのだろうか。

 現在、全国における抗インフルエンザウイルス剤「タミフル」などの備蓄率は全人口の23%である。今後、厚生労働省は与党からの提言を受けて45%まで引き上げるとしている。ただ、タミフルは新型インフルエンザに対する効果はわからない。ある程度のもしくはごくわずかの効果はあるにせよウイルスが全くの別物であれば効果は期待できない。インフルエンザ治療薬ザナミビル、商品名「リレンザ」はA型・B型インフルエンザウイルスに効果があるものである。「リレンザ」はタミフルが効かないインフルエンザウイルスに効くとされ、新型インフルエンザに対する効果もタミフルより期待されている。しかし、治療薬では感染を抑えることはできない。 また、タミフルは48時間以内に摂らなければ効果が無いとされる。そして、T-705という新しい抗インフルエンザ薬もあり、実用化が期待される。

 現在、今までのウイルスをもとにしてワクチンが作られている。これは最近ヒトへの感染が出ている鳥インフルエンザH5N1亜型ウイルスから作られているものであり、プレパンデミックワクチンという位置づけになる。国はこれを20年度までに3000万人分備蓄するとしており、さらにほかのウイルスをもとに別のプレパンデミックワクチンも作られる。しかし、これは広く一般国民にいきわたるものではない。社会機能の維持をはかるためにワクチン接種の優先順位が決められているのである。政府試案詳細を別に設けたのでそれを見ていただきたい。 (→プレパンデミックワクチン摂取優先順位

 概要を簡単に述べておく。まず、試案ではカテゴリーが3つに分けられている。カテゴリーⅠは新型インフルエンザ発生時に即時に第一線で対応する業種・職種、カテゴリーⅡは国民の生命・健康・安全・安心に関わる業種・職種、カテゴリーⅢは国民の最低限の生活の維持に関わる業種・職種である。医療従事者や治安関係者、行政の長などが主に優先順位が高くなっている。摂取時期についても現在検討されている。


●その時日本は

 国としては、新型インフルエンザによる感染が確認されれば、総理大臣を本部長とする対策本部が設置される。海外で感染が確認された場合には、公衆衛生的対応として空港や港での検疫などが行われる。また、感染拡大後にパンデミックワクチンを製造し、国民に配布するとしている。

 交通機関が発達したこの今の時代において、世界中を瞬時に移動することができるようになった。それゆえ、新型インフルエンザウイルスにも同じことが言える。潜伏期間中に自分が感染していることに気づかず、海外から日本国内に入ってきたときが一番恐ろしい場合である。WHOでは新型インフルエンザの人への感染が確認されたら、その半径5キロを封鎖する計画を立てている。日本で感染が確認されれば約1週間で全国に広がるというから恐ろしい。感染を知らずに動き回ってしまえば感染はどんどん拡大する。実際に、くしゃみ一つでも、電車の車両の端から端まで飛まつが届いてしまうほどである。感染を防ぐために、人の密集を極力避ける対策が必要になる。学校が休校となったり、映画館などの施設は営業を取りやめることになる。公共機関の使用も抑制される。病院は全ての患者を受け入れることができないため、重症患者のみを受け入れることになる。社会は大混乱に陥る可能性がある。特に、スーパーマーケットなどに、不安を覚えた人たちが食料を求めて押し寄せるかもしれない。


●その時あなたは
 
 もしも感染したらどうすればいいのか。厚生労働省は、発熱などの症状を感じるなどの異常を少しでも感じ取ったら病院には行かずに保健所に相談してほしいとしている。これは、感染者が病院に押しかけることで感染拡大の危険性があるからである。パンデミックが起こったら、自宅へこもることが望ましい。外界との接触を極力避け、一時的に収束するのを待つべきである。家庭内であってもマスクを着用し、空気の入れ替えなどを行うことも有効であろう。


●現在の対策

 2008年11月28日の関係省庁対策会議において、政府は新型インフルエンザ対策の行動計画を改定することを決定した。これにより、流入阻止という対策から感染を前提とした拡大抑制を重視する方針を示した。さらに、WHOのフェーズ分類ではなく、国内の発生状況に応じて「未発生期」「海外発生期」「国内発生早期」「感染拡大、蔓延、回復期」「小康期」の5段階(1+4段階)に分けることを決定した。

 また、新型インフルエンザを想定した訓練が日々行われている。最近の訓練をあげると、11月18日の新潟県における対応訓練、27日の成田空港での水際対策訓練などがある。新潟県での訓練では、新型インフルエンザ専用の「発熱外来」の設置が行われ、トリアージの訓練、行政から民間企業への情報伝達訓練も行われた。「発熱外来」は新型インフルエンザ患者とそれ以外の患者を振り分けるために臨時で設置されるものである。12月5日には川崎市で、この「発熱外来」を設置する訓練が行われている。成田空港で行われた訓練は厚生労働省成田空港検疫所が主催し、旅客機内での感染を想定して行われた。 これら以外にも各空港や港、病院などで訓練は随時行われている。

 地方自治体での自主的な対策も行われている。東京都では年内にもタミフル200万人分、リレンザ200万人分の計400万人分の備蓄を行う見通しである。埼玉県さいたま市では、県とは別に独自で全市民の約25%にあたる30万人分のタミフルを購入するとしている。市民の治療用に調達するのははじめてだという。新潟県阿賀野市では、瓢湖(ひょうこ)で野鳥が陸にあがって直接人と接触しないように防護ネットをはるなどして対策をしている。

 次に個人的対策を紹介しておく。日ごろから手洗いうがいやマスクをすることは個人レベルとして有効なことである。せきやくしゃみをするときには、飛まつが飛ばないようにマスクをするか、ハンカチやティッシュで鼻と口をふさいでするなどのマナー意識を持つことは常識である。また、体調管理なども重要である。そして、その他の災害対策と同様に災害用品を用意することや、食料や解熱剤などを最大2ヶ月分備蓄しておくことが重要である。そのほかにも、実際の状況を想定した自治体が行う訓練などに積極的に参加し、実際の動きを確認しておくことや日ごろから知識を蓄え、家族などで話し合うことも必要である。


●総括

 いまだに完全に行動計画が策定されていないことに関しては不安が残るのは確かである。これは国の存亡に関わる重大な問題である。国に危機管理意識が足りないことは誰の眼にも映っている。プレパンデミックワクチンを国民全員分用意し、いつ起きるかわからないパンデミックの前に行動計画を完成させ、最大限の準備を整えることが求められる。また、新型インフルエンザに関する知識がまだまだ国民に足りないのではないかという不安もある。広く国民に周知徹底することが確実に必要である。国は広報を様々な形で行い、国民は自分が何をすべきかを正確に把握することが重要である。




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すでにフェイズ3まで来ているのですか・・・。
病院ではなく保健所に行かなければならないというのも初耳でした。
とてもためになるシリーズですね。
次回以降も期待してます。

2008/12/08 20:51 | ぐみ [ 編集 ]


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