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Nの軍事ブログ

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2009-04-14-Tue- [シリーズ]ロシア軍の今 2.ロシア軍近代化計画の背景(後編)

 二日目は初日の後編をお伝えします。対談部分です。



市瀬卓(いちのせ・たく)キャスター:それではスタジオにはロシアの安全保障問題に詳しい防衛省防衛研究所主任研究官の兵頭慎治(ひょうどう・しんじ)さんにお越しいただきました。

市瀬:ロシアが、今これほどまで軍の近代化と強化を進めているその理由はどこにあるのでしょうか。

兵頭:メドベージェフ大統領は3月17日に開かれた軍幹部の拡大会合で、2011年からロシア軍の装備を本格的に近代化していくと表明しています。これには大きく分けて二つの理由があると考えます。一つは国内向けの理由。ロシア軍の大規模な軍改革を進めようとしており、将校の数を半分以下に減らすという大胆なもの。これに対してロシア軍の内部で不満が高まっており、今回ロシアは経済危機にもかかわらず国防予算は削減しないと表明することによってロシア軍内部の不満を緩和させたいという理由です。二つ目は国外向けの理由であり、4月1日に米露首脳会談が行われます。これはオバマ大統領とメドベージェフ大統領の初顔合わせということもあり、昨年のグルジア紛争以降冷えきった米露関係を本格的に立て直す契機になるものです。ロシアとしてはこのタイミングで軍の近代化ということを大きくアピールすることによって、強気の姿勢を示すことにより、アメリカからのより一層の譲歩、あるいは歩み寄りを期待したいということです。

市瀬:一つの外交カードという側面もあるということですね。そこで軍の近代化の中身なんですが、先ほどのリポートの中でも3つほど要点がありました。まず兵力の削減ですがこれはどういう意味があるのでしょうか。

兵頭:ロシア軍というのはソ連時代最盛期に500万人以上の兵力がありまして、ソ連が崩壊してロシアになるときには約260万人くらいありました。現在は113万人まで減らされており、それを2012年までに100万人まで最終的に削減する予定にしています。これは、ソ連からロシアに軍が移行するということで軍削減のプロセスがようやく終わりに近づきつつあるといえると思います。ただ、量を削減するだけではなくて、質的な向上も目指していまして、部分的な契約勤務制、つまりプロの職業軍人を導入するということで現在ロシア軍の大体3分の2がすでに職業軍人によって構成されています。つまり、昨年8月に行われたグルジア紛争はほぼ職業軍人によって実施されたということになります。

市瀬:もう一つが装備の近代化ですか。これはやはり文字通りハードウェアを近代化するということなんですか。

兵頭:こちらの方はまだ遅れておりまして、実は昨年のグルジア紛争では、グルジア側の装備はアメリカの支援などの影響もあり比較的新しく、NATO標準に近づく装備を持っていましたが、ロシア軍はソ連時代につくられた古い兵器を使っていました。ロシアの戦闘機が4機ほど撃墜されたということもあり、グルジア側は無人偵察機を持っていたりして装備面ではかなりグルジアとロシアの差が目立ったということです。ロシアはより一層装備の近代化を行わなければならない、という判断に至ったと思います。現在のロシアの最新兵器の装備率は大体10パーセントくらいしかないのですが、メドベージェフ大統領によると2020年までに大体70パーセントくらいまでに比率を高めたいと考えているということです。

市瀬:もう一点は組織の改編ですけれども、新たな戦争の姿に適応していこうということなのでしょうか。

兵頭:現在のロシア軍はソ連時代につくられた非常に重厚長大な重たい組織となっています。今回のロシア軍の改編では、師団と呼ばれる8000~10000人規模のユニットを廃止して、ワンサイズ小さい旅団規模を中心とした部隊に大きく変更すると予定になっています。これによって、グルジア紛争などの地域紛争やテロ戦争などに、より対応できる即応性と機能性の高い軍隊への再編を目指しています。この再編はソ連ロシア史上最大級の組織改編というふうにいわれています。

市瀬:そうなりますと、今後ロシア軍が目指す方向性はアメリカやNATOと対峙することを念頭におきながら、対テロ作戦や地域紛争などに対応していこうというより幅広いものになっていくということでしょうか。

兵頭:通常戦力においてはNATOやアメリカと比べて圧倒的に劣っていることから、今後は核戦力を重視していくことになると思います。



解説:兵頭慎治氏は、防衛研究所研究部第5研究室主任研究官。専門分野はロシア地域研究(政治、外交、安全保障)。


 このシリーズのきっかけとなった番組、きょうの世界のホームページにはキャスターの紹介なども掲載されていますので、興味のある方はご覧ください。
http://www.nhk.or.jp/kyounosekai/

 防衛省防衛研究所はこちら。
http://www.nids.go.jp/


●追加解説
 4月17日の国防省での年次会合で、ロシアのメドベージェフ大統領は軍改革を2011年から行う方針を示した。

 現在113万人の兵力を100万人までに削減し、装備を刷新するなどの改革を行う。また、上記の兵頭研究官の師団を廃止し、旅団にするという発言にある通り、指揮命令系統の簡略化なども盛り込まれている。簡略化は、現在の軍管区→軍→師団→連隊という形から、軍管区→作戦司令部→旅団という形になる予定である。

 軍改革計画は昨年の時点でセルジュコフ国防大臣が打ち出していたが、メドベージェフ大統領があらためて意思を表明したことで、軍内部の反発を招いている。4月11日にはウラジオストクで軍人が300人ほどの集会が行われた。

 このような改革や反発の裏にはどのようなロシア軍の実情があるのか。明日はそれを見ていきたい。




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