Nの軍事ブログ

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2009-12-31-Thu- 2009年の終わりに

 2009年が早くも終わろうとしています。みなさんにとってこの1年間はどのようなものだったでしょうか。つらい事が多かった人も多いはずです。2009年の終わりは2000年代の終わりでもあります。この10年間は本当に戦争ばかりだったと思います。ぱっと思いつくだけでどれだけの戦争を思い浮かべますか?どれだけのテロを思い浮かべますか?

 現在も世界中に前線で任務に就いている将兵がいます。これは自衛官にも言えることです。PKOはもとより、今年から海賊対処任務も新たに始まりました。昨年の年末もこのようなことで終わったと思いますが、彼らは国の命令で戦地に赴いているとはいえ、新しい年を笑顔で迎えられるようにと願うばかりです。私にはそれしかできません。来年はアフガニスタンでの戦争がいっそう激しくなり、戦死者を多く出すことでしょう。このようなことを考えるときりがありませんが、平和がどれだけ尊いものなのかということをあらためて強く感じます。

 最後に、昨年と同様に戦地に送られている兵士の皆さんが祖国へ無事に戻れるように祈って今年最後の記事とさせていただきます。Nの軍事ブログに訪れてくださった皆様、本当にありがとうございました。また来年もよろしくお願いします。




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2009-12-30-Wed- 2009年 海上自衛隊の一年間を振り返る

 2009年がいよいよ終わりに近づいていますが、海上自衛隊のこの一年間を簡単に振り返ってみることにします。

 今年は私にとって非常に期待の大きい年でした。海上自衛隊の装備品に関するスケジュールが集中していたからです。主なものを挙げると、ひゅうが就役・一般公開、ひゅうが型2番艦進水、そうりゅう型潜水艦そうりゅう就役などです。また、なんといっても今年は観艦式が予定されていたので、海自にとって特別な年でした。

 期待は単なる趣味だけの問題ではありません。実際の任務に対しても非常に大きな関心を持っていました。なんといっても、海賊対処任務が今年から始まったことは重要なことでしょう。年が始まる前から今年の関心事となっていました。また、天皇陛下御在位20年を祝した行事も予定されていました。スケジュールが決まっていたのはこれくらいでしょうか。これだけみても海上自衛隊にとって特別な年であることは間違いないでしょう。良い意味でですが。

 しかし、スケジュールになかったことでも今年はいつもと違いました。まず、4月の北朝鮮ミサイル発射騒動です。イージス護衛艦ちょうかいが日本海に展開し、動向を見守りました。それから、下半期に入ってからよくないことが多々発生しました。ひとつは9月末にYS-11が田んぼに突っ込むという事故です。輸送任務に就く海自のYS-11は4機しかなく、この事故で1機使えなくなり、1機は常に点検に入っているため実働2機で各地を回らなくてはならなくなりました。その1ヶ月後、くらまが衝突事故により損傷し、DDHが稼働ゼロになる時期ができてしまうという事態になりました。死者はでなかったものの乗組員数名が負傷しました。そして、12月に入りSH-60Jが不時着し、2名が死亡するという事故が起きました。事故が立て続けに起きた年でもあったのです。

 あの船かっこいいな、あの飛行機好きだなと思って自衛隊に興味を持つ人は多いはずです。しかし、事故のニュースを見ると、やはり自衛官の中には常に危険な状況で仕事をしている人が実際にいるのだなと感じるはずです。海外派遣に関してでもそうです。いくら安全な地域で安全に気を使っているとはいえ軍艦が攻撃を受けたケースはありますし、駆逐艦コールの二の舞になる可能性も十分に考えられます。また、国内でも不審船などの任務では当然危険がともないます。

 事故は国民が自衛隊をしっかり見直すいい機会だと思います。そういう人たちがいるのだなと思うだけでも大きな違いでしょう。今年を振り返ると本当に「特別な1年」だったと思うのです。いい部分と悪い部分がたくさんありましたから。海自のみならず殉職者はたくさん出ています。それでも、来年も365日日本の国防を防衛省・自衛隊の皆さんにお願いしたいと思います。今年1年間本当にありがとうございました。我々には国の守りをお願いすることとそれを応援することくらいしかできませんが、期待をしています。




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2009-12-30-Wed- 予算計上で注目される22DDHとは ひゅうが型を上回る19500トンの大型護衛艦

 ひゅうが型護衛艦のひゅうがが就役して9ヶ月、2番艦いせが進水してから4ヶ月となりました。空母型護衛艦と騒がれ、大きな注目を集めましたが、まだそんなに日がたっていないにもかかわらず、それを上回る注目を集める護衛艦が現れました。この護衛艦は平成22年度の防衛省概算要求に登場し、ひゅうが型の注目を一気にかっさらっていったと言っても過言ではないかもしれません。基準排水量19500トンで平成22年度予算での建造を予定されるものであることから22DDH(ふたふたDDH)と呼ばれています。ちなみにDDHとはHelicopter Defense Destroyerヘリ搭載護衛艦のことを表しています。私も非常に大きな関心を寄せていますが、そんな中雑誌JShips vol.38を購入しました。ひゅうが型の特集が掲載されており、22DDHについても記事が書かれていたので合わせて簡単に紹介したいと思います。(もちろんすべて書きませんので興味のある方は購入しましょう笑。)

 まずはひゅうが型護衛艦とは何なのかという話からです。ひゅうが型は全通甲板を持つことから空母型といわれることが多く、そればかりが強調されていますが主たる任務はなんなのでしょうか。「空母」と一言でいっても様々なタイプがあります。ひゅうが型はヘリ空母ということができるでしょう。となればハリアーやF-35Bのような垂直離発着可能な航空機の運用が注目されます。しかし、海上自衛隊はそういった能力を必要としていないというのです。記事の中で、就役時の報道陣に対するブリーフィングが紹介されています。その中でひゅうが型が対機雷戦にも活用されることが明示されていたということです。MCH-101ヘリコプターを運用を考えている以上、想像はつきますが、本来掃海隊群が行う対機雷戦を護衛艦が直接行うことはありませんでした。ひゅうがは航空掃海任務を担うことも想定されているということなのです。

 ひゅうが型の2番艦が進水してから22DDHが注目を集めましたが、こちらは空母といえるのでしょうか。基準排水量が19500トンという大型艦で、ヘリを最大14機搭載可能であり、洋上拠点としての印象が強い多用途空母ということができるのではないでしょうか。ひゅうが型とは使用目的と能力がかなり違うと思います。用途は国際貢献活動や災害派遣などの洋上拠点としての輸送力強化ということで、能力としてはヘリを最大14機、3.5トントラック50輌を搭載可能で多艦への洋上補給も可能であるなどがあげられます。ヘリスポットは5つになり、甲板上にはひゅうが型と違いサイドエレベータが設置されており、輸送能力強化のひとつとしてサイドランプも設けてあります。航空機運用や輸送力は強化されたものの、巨大バウソナーや魚雷発射管を装備せず対潜戦能力は低下しており、DDHとしての用途変化が表れています。結局、ヘリ空母、輸送艦、補給艦などが統合された多用途空母と言える護衛艦なのです。(画像拡大可能)


22ddh gaisan


 多様な事態に対応する可能性が高い場所としてインド洋が挙げられます。アフリカでのPKOをはじめ、海賊やテロ対策活動の洋上拠点として展開することができる海上自衛隊初めての護衛艦かもしれません。また、個艦防御能力がVLSの排除によりひゅうが型より低下したため必ず護衛する随伴艦が必要になるでしょう。まさに護衛艦が護衛艦としての役割を本格的に担うことになります。そこでインド洋での活動を念頭に以下の編成を考えました。書きたかっただけです。

▼インド洋派遣艦隊
22DDH(旗艦)
イージス護衛艦×1
汎用護衛艦×2(海賊対処)
補給艦×1
P-3C×4

 ひゅうが型護衛艦と22DDHははるな型護衛艦としらね型護衛艦の代替として予定されていますが、DDH4隻体制から6隻体制へすべきだと考えます。4隻では足りないのではないかという思いがあります。国際活動が増加すれば海外派遣が増えるわけですし、新型DDHの活躍の場は増えます。そうなれば輸送艦としての役割も果たせる19500トン型護衛艦を4隻建造できれば一石二鳥ではないでしょうか。問題は当然予算ですが・・・。たわごとにすぎないでしょうか・・・・・。

 22DDHは護衛艦ということになっていますが、「護衛艦」という言葉がどのような艦を表しているのでしょうか。一般的には駆逐艦の代わりに使われているというような傾向が強くありました。しかし、それを基にしていえば22DDHは護衛艦とは呼べないでしょう。もっとも、海上自衛隊の戦闘艦のことをどんな艦でも護衛艦という、などどいう定義であれば納得はできますが・・・。国民は非常に理解しがたい言葉であると思います。自衛隊で使われている言葉には普通の軍事用語でないものがたくさんあり、一般国民がなじみにくい要因のひとつであるとおもいます。艦にはいろんな定義があるにせよ、ある程度通常使う言葉に直した方がいいと思います。意味のない言葉遊びはやめるべきではないでしょうか。

 以上、防衛省発表資料、jships、Nの意見などを合わせて22DDHに関する記事をまとめてみました。早くも完成が楽しみですが、ここはこらえてじっくり待ちましょう。




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2009-12-29-Tue- F-35国際共同開発への参加を検討

 まずは報道を引用。

F35国際共同開発に参加検討 日米両政府、空自向け限定

 【ワシントン共同】日米両政府が、米英を中心とする次世代戦闘機F35の国際共同開発への日本の参加を検討していることが29日、分かった。航空自衛隊向けの製品に関与を限定し、武器輸出三原則に抵触するのを回避する方針。空自の次期主力戦闘機(FX)早期導入に道を開くのが狙いだ。

 日米両国の政府筋が明らかにした。米側は参加を認める方向で調整しており、日本側は実務レベルで検討中。ただ、他国向け武器輸出を禁じる三原則が形骸化する可能性もあり議論を呼ぶのは必至で、日本政府の最終判断がどうなるかは見通しが立ちにくい。

 F35は米英、イタリア、オランダなどが共同開発。日本は三原則に抵触するとして参加していない。運用開始は2010年代半ばの予定。通常は開発参加国の調達が優先されるため、日本が開発に加わらない場合、早期に調達できるか不安視され、日本向け部品生産などの形で開発に参加する案が浮上した。参加が可能との判断が下れば、正式な機種選定前でも詳しい性能や価格の情報提供が想定されるという。

 次期主力戦闘機は、老朽化が進むF4戦闘機の後継で、米国のF15FX、欧州共同開発のユーロファイターなど6機種が選定対象。
2009/12/29 18:23 【共同通信】



だそうです。適当なんですが、1つ加えるとすれば、空自向けF-35というのは正確にいえばF-35Aだということでしょうか。つまり通常離着陸タイプであるということです。他にはF-35BとCがあります。F-35Bは米海兵隊向けであり垂直離着陸能力を持っています。F-35Cは海軍用で空母艦載機としての運用が予定されています。

 F-35の導入ですかぁ。某筋から聞いた話では、やっぱりF-2でいこうかという話はまだあるとかないとか。そんな話をきくとF-35をわざわざ開発に参加して導入する必要はないんじゃないかななんて思ったりします。後出し参加のようなことで共同開発者として食い込むことができるのか。情報をどこまで提供してもらえるのか。結局値上がりして高い買い物になってしまうのではないか。など私の頭の中では疑問が残っています。だれか分かれば教えていただきたいのですが、F-2をF-Xとしてつなぐならば色々日本にとってメリットが大きいような気がします。戦闘機の生産技術基盤を維持するためにもいいのかななんて思います。しかし、いずれは国産で戦闘機をつくるのか、次世代戦闘機を買うのかの2択になります。難しい問題なのでまともな意見は言えませんね。個人的な趣味でしか決められません笑。




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2009-12-29-Tue- 支援活動のために国際協力隊をつくるべきか

 再び意見をいただきました。再びポイントになるのは、陸上自衛隊がPKOなどの任務に対応していくための普通科兵力をどのように確保できるか、ということです。コメントの中ではMOOTW(ムートウ、ムートゥ)のことをおっしゃりたいのだと思いますが(できたら直していただけると幸いです。正しい表記をできるだけこころがけていますので)、軍でなくとも民間で行える活動を「国際協力隊」のような組織を立ち上げて従事させるというのが提案でした。例えば災害派遣が大きな例で挙げられるでしょう。自衛隊と協力して活動を実施するという構想です。

 私は、はじめに正直に言っておきますが、こうした災害派遣活動や復興支援活動などに関しては、他に比べて詳しくありません。諸外国のそうした活動やJICAについても知識がありません。ただ、ひとつ言えると思うことがあります。それは治安や安全に関することなのです。治安がかなりのレベルまで回復し、民間人が安全に活動を行うことができればほとんど問題はありません。それが理想の形です。しかし、災害支援や復興支援などは混沌とした場所に展開しなければならないことが大部分であり、治安の回復を待っていたら何もできないこともあります。こうしたことを想定して自衛隊部隊とともに派遣することが必要になるのだと思いますが、民間の人間が危険な状況で多数展開するなかで、規律を維持して行動がはたしてできるのだろうかという心配があります。また、民間人を守るために自衛隊の部隊が武器をきちんと使うことができなければ民間人の死者を出す可能性すらあります。

 そのような責任と覚悟が両者になければきけんな地域での活動はできないでしょう。自衛隊は命令で動きます。しかし、民間人にはその義務はありません。もちろん、国際協力隊のような組織をつくればやる気のある人間がたくさん集まってくるでしょう。実際に活動に従事するためにはしっかりとした教育をして規律を徹底しなければなりません。すでに危険な地域で活動している団体や個人はたくさんいますが、国際協力隊というからには国の意思で派遣することに恐らくなりますよね?そうなれば責任はすべて政府が負うことになります。結果的に危険な地域での活動はできるだけ控えることになるでしょう。もしくは、自衛隊部隊に武器使用権限を明確に与え、活動を守らせるように政府が指示を出さなければならないでしょう。

 ここまでは否定するようなことを言いましたが、他国軍が展開している地域に派遣をするという方法もありますし、安全な場所では活動できるので国際協力隊を別枠で設けるのはいい考えだと思います。ただし、活動範囲はぐっと限られるということを言っておきたいだけです。これから議論でもう少し詰めることができたらいいと思います。

 さて、タイムリーと言っていいのかどうか不明ですが、友愛ボート構想というものが新しくでてきています。実際に具体的な内容が出来上がりつつあるようです。

米軍医療支援に艦船派遣=「友愛ボート」構想を具体化-防衛省(時事通信)

 防衛省は26日、鳩山由紀夫首相が掲げる「友愛ボート」構想の具体案をまとめた。米軍が中心となって行う人道支援活動「パシフィック・パートナーシップ」に、来年から海上自衛隊の大型輸送艦1隻を初めて派遣。約20人の医療チームなどを乗せて、アジア・太平洋地域で支援活動を行う。
 「友愛ボート」構想は、首相が今年11月にアジア太平洋経済協力会議(APEC)出席のため訪問したシンガポールで講演した際、明らかにした。
 支援活動は、同地域の発展途上国との関係強化を通じて安全保障環境を改善しようと、米国が2007年から始めた。米海軍の艦船が各国を訪問し、医療活動や土木事業支援、文化交流を行っている。カナダやオーストラリア、シンガポールなどは、軍医を派遣するなどの形で参加している。 
 自衛隊もこれまで、医官、歯科医官各1人を支援活動に派遣してきたが、来年からその規模を拡大する。海自の大型輸送艦で医官、看護官らの医療チームを派遣。現地の民間人との文化交流などを推進する目的で、NGO(非政府組織)関係者の同乗も呼び掛ける計画だ。(2009/12/26-15:14)


 NGOの関係者も同乗して活動に参加することになるのでしょうか。本格的にこうした活動に力をいれているのであれば、様々な組織案を検討してもいいでしょう。パシフィック・パートナーシップは米軍主導の支援活動です。米軍だけでなく軍が支援活動を行うことができる理由として、規律を維持して活動ができ、安全も確保しやすく、かつ自己完結性が高いということが言えるでしょう。ですから軍の活動に合わせて民間団体が出ていくことができるのではないでしょうか。既存の枠組みに参加するのであれば「国際協力隊」は活動を行うことができるはずです。高い能力が必要とされますが。支援活動は多岐にわたるのでそれぞれ能力を持った人が必要になります。軍や自衛隊はそうした能力も備えているのです。

 国際協力隊はこれからもっと考えるとして、友愛ボート構想ですが、輸送艦を使う余裕はあるのでしょうか。海上自衛隊は反発していると思いますけれど・・・(想像ですが)。大型輸送艦というからにはおおすみ型輸送艦を派遣するのでしょう。私の考えとしては、輸送艦は陸自部隊を移動展開させるのに極めて重要だと考えているので、おおすみ型3隻のうち1隻が海外で活動を行うことになるのは大きなダメージであると思っています。そうでなくとも数は少ないというのに・・・。民間の大型船を調達して運用することもあるかもしれませんね。




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2009-12-26-Sat- 自衛隊の人員配分についてのコメントへの返事

 自衛隊の人員配分に関する意見をmiopan loverさんからいただきました。今回はそれに関する返事です。その前に前回のまとめをしておきます。(更新が遅れて本当に申し訳ありません)

・5兆円の枠内で防衛力を維持しなければならない
・防衛力の要は正面装備である
・正面装備を運用する人員を優先して補充すべき
・そのために普通科の人員を一時的に減らすのはやむを得ない
・穴埋めは予備兵力で行う

 さて、本題に入ります。寄せられた意見は陸上自衛隊の火砲や機甲兵力の大幅削減でした(コメントはここで確認)。コメントで述べられているPKO等の任務がこれから重要になるという認識は納得できます。確かに、普通科連隊の活躍の場は広がるかもしれません。5兆円の枠内での防衛力整備を考えれば選択肢の1つとして十分に存在し得るものだと思います。ただ、私はこれには不安を感じます。火砲や、特に一例として戦車を300輌にまで削減するということが述べられていますが、ここまで機甲兵力を削減してしまうという点にです。

 敵の侵攻順序を考えてみれば、海空自衛隊兵力を増強して大部分を防ぐことができれば陸自の兵力は多い必要はないと考えることができるかもしれません。しかし、軍事は外交と同じで相手があることです。相手が戦闘機を持っていればそれに対抗できる戦闘機を持つ。戦車も同じことです。他国が機甲兵力を保持している以上、陸上自衛隊も機甲兵力をなくすわけにはいきません。ソ連の脅威がなくなったから機甲兵力はいらないという意見はよく聞きますが、あらゆる可能性を考慮して軍事力を保有するというのが基本です。周辺国はもとより、ヨーロッパでも主要国は機甲兵力を維持しています。

 北海道の第7師団。日本唯一の機甲師団です。機甲師団とは簡単にいえば、戦車兵力を軸に自動車化および機械化歩兵等で構成された師団です。機械化歩兵というのは決してロボット歩兵などではなく、装甲車などによって戦車と同等の機動力を保持する歩兵のことです。第7師団はこれらによって機動打撃を担う唯一の部隊です。他の師団でも戦車は配備されていますが、第7師団は数少ない戦車連隊を3個隷下に置き、1個機械化普通科連隊を有します。

 機甲師団を維持するには確かにお金がかかるでしょう。しかし、これは止むを得ないということを理解していただけるでしょうか。かつて民主党は防衛費5000億円削減を公約で明言しました。この中で機甲師団の廃止、戦車・火砲の20%減が盛り込まれていたのは皆さんもご存じのとおりです。この公約が実現されなかったことは日本にとってよかったと言っていいでしょう。日本だけが機甲兵力をわざわざなくすということはあり得ません。ただ、機甲師団を維持したうえで他の師団にある戦車大隊を減らすということで全体の戦車の数を落とすことはできるかもしれません。北海道以外に配備されている戦車はほとんどが74式戦車です。これからTK-X(10式戦車?)の配備に伴って74式は退役していきます。その中でTK-Xの配備数を減らし、全体の戦車数を今よりも少なくするということです。300輌とまではいかないにせよ人員不足はそれで解消されるかもしれません。

 ただ、それくらいの削減では普通科を強化できるということにはならないでしょう。そこで、再びコメントに戻ると中央即応集団の充実といったことが書かれています。これには大きく賛成できます。全体の普通科兵力が落ちたとしても、中央即応集団、特に特殊作戦群、中央即応連隊、空挺団(普通科大隊)を強化することでより強力な普通科兵力を保有するしかないと思います。現在の活動を見てもPKOの他海賊対処任務で派遣されているのは中央即応連隊の隊員です。今後一般部隊に引き継がれる予定なのかもしれませんが、とにかく最初に動くのは中央即応集団隷下部隊です。それを考えれば中即団強化は陸自の戦力維持に欠くことのできない要素だと思います。ただ私とmiopan loverさんの考えで違うのは、普通科を削減しての中即団強化なのか普通科を強化してかつ中即団強化なのかということでしょう。

 陸上総隊創設が防衛大綱に盛り込まれる予定でした。中即団に並んで1師団の代わりに首都防衛集団なる部隊を創設し、各方面隊と合わせて総隊隷下に置くという案でした。これを実現できれば陸自の定員を削減することができると思います。そして①機甲師団維持、②普通科兵力の削減、③中即団および予備自衛官強化を実施すべきだというのが私の考えです。何度も言うようになりますが、これらはあくまでも今後5兆円の枠が維持またはさらなる予算削減が行われる場合の1つの案にすぎません。予算が増額されるのならば陸自14~15万人規模を維持して海空自衛隊兵力を増強すべしというのが私の考えの基本です。冒頭の繰り返しになりますが、今回いただいたコメントは1つの案として今後の自衛隊の姿を考えれば十分検討すべき案だと思います。例で挙げられた300輌の90式戦車を機甲師団に重点配備して余りを他にまわすならば、ですが。

 まとめてみましょう。
第1案 普通科を削減し戦車等の装備維持をすることで防衛力とするべき
第2案 戦車兵力を大幅削減し、普通科や中央即応集団強化にシフトすべき

 他の意見を募集しています。私の意見もあくまでも素人考えでしょう。突っ込みどころはたくさんあるはずです。コメントを待っています。




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2009-12-24-Thu- 更新が遅れています

PCの調子が悪いのでコメントの返事を今日することができません。(今回は緊急で携帯から)申し訳ありませんがまた後日更新予定です。コメント、意見はいつでもお寄せください。楽しみにしています。




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2009-12-20-Sun- 陸自から海空自に人員を振り分けるという意見について

 私が以前書いた意見に関してコメントが寄せられました。今回はそれについての記事となります。まずは私の発言内容です。

自衛隊は一人ひとりが戦力であり、特に護衛艦に限って言えば定数を満たしてこそそれの持つ力を最大限発揮できるのです。もし増員が認められないようならば、陸自の人員配分を海自にまわして護衛艦の定数を満たす必要があると考えます。陸自も人が足りないといいますが、もとの比率が多すぎるのであってそれぐらいの配分変えならば「効率化」の範疇ではないでしょうか。

 この部分が書かれた記事について他の部分にも意見が多くあるとは思いますが今回はこの部分だけをとりあげます。この陸自の定員を海自にまわすという意見について。戦車を動かす人員が足りないことを例にあげられ、陸自から人員を割り振るのは以ての外である、という意見をいただきました。このように考える方は多くいらっしゃると思います。私自身も同感です。あのようなことを書いておいていまさらなんだと思われるかもしれませんが、私が海自びいきであるという理由で陸自からの人員割り振りを言ったわけではありません。それに海自をひいきしているわけでもありません。

 防衛予算は毎年約4兆7000億円で年々減少しています。予算が減れば自衛官の定数は減り、装備品も調達できなくなります。一括調達ができないために高価になってしまう装備品もあり、その部分での経費を他に使うことができればと思うこともあります。自民党政権下で平成15年度から防衛費削減、つまり軍縮を行ってきた中で、平成21年度中に実施される予定だった防衛計画の大綱策定が政権交代で来年度に先送りされました。この策定される"はず"だった防衛大綱では、防衛費縮減方針から抜け出すことが盛り込まれる"はず"でした。しかし、民主党政権となり、防衛大臣は予算削減の意思が無いと発言しているものの、事業仕分けの様子からみても、今後も自民党政権から軍縮路線を引き継いで防衛費削減を実施する可能性が十分ありえる状況となりました。そして、来年度予算は次のように方針が決定しました。

防衛予算は「極力抑制」 政府、来年度の基本方針を決定(asahi.com)
 鳩山政権は17日午前、首相官邸で安全保障会議(議長・鳩山由紀夫首相)を開き、来年度の防衛予算編成の基本方針を決定した。厳しい財政事情を踏まえて予算を「極力抑制する」とした。地対空誘導弾パトリオット3(PAC3)の追加配備については、弾道ミサイル対処能力の向上を図る必要性を認めた。



 こういった状況をみても今後は、最低でも現状維持の状態が続くと思われます。つまり5兆円に満たない予算の中で毎年装備品を調達しつつ、さらにBMD(弾道ミサイル防衛)体制を整備していかなくてはならないのです。その上で防衛力を維持していかなくてはなりません。そこで、各自衛隊の戦闘力を維持していくにはどうすればよいのかということを簡単に考えました。自衛隊の戦闘力の大部分は正面装備(戦車や護衛艦、戦闘機など)で決まります。特に、海自や空自ではその傾向が強いと思います。それは護衛艦や航空機が戦闘力そのものだからです。では陸自はどうなのかというと、当然戦車や火砲、航空機などの装備品が重要な戦闘力となりますが、それだけではなく、人そのものが戦闘力となっている普通科という部分があるわけです。これらのことを踏まえて、次のように考えたわけです。

 防衛力を維持するには最低でも現在の正面装備を維持するしかない。それにはその装備を運用する人員が必要になる。しかし、自衛官の増員は認められない。それならば正面装備運用に携わる定員を満たす方法のひとつとして、陸上自衛隊の主に普通科から陸海空自衛隊装備を運用するための人員を他に供給しなければならないのではないだろうか。

 5兆円の枠内で防衛力を維持しつつ正面装備にかかわる自衛官の定員を満たすにはどうすべきかということを考えた結果です。普通科を軽視しているわけでも陸自を削減したいわけでもありません。ですから普通科にあいた穴を埋める方法も考えなくてはなりません。それにはやはり予備自衛官や即応予備自衛官を拡充するしかありません。常備自衛官と比べて質は落ちますが、仕方のないことだと考えます。普通科から人員を切り取ると考えたのは予備自衛官でなんとか数は揃えられるからという理由もあります。戦車・火砲や自衛艦、航空機の運用を予備自衛官に任せることはできませんから。それに、正面装備と普通科隊員それぞれを減らした後で再び元に戻す時に、どちらが現状を回復しやすいかということも判断材料になったと思います。つまり、正面装備の再調達と普通科隊員の再教育のどちらのほうが効率よく素早く行えるかということです。防衛産業の基盤が不安定になっている今、一度調達をやめたものを再び調達できる保証はありません。それに比べて普通科隊員の教育のほうが、大変で労力のかかることだとは思いますが安定的に実施できると考えました。

 以上が人員振り分けについての説明です。納得していただけたでしょうか。もちろん、話をもっと詰めれば海空自衛隊の防衛力の維持は正面装備だけではできないという意見もあるでしょう。一つ例を挙げれば戦闘機や哨戒機などの運用についてです。いくら戦闘機があっても整備や管制などが充実していなければ実戦で使えません。特に長期間の作戦では整備員の予備、つまり交代がなければ24時間体制で任務を行うことはできないのです。それを言えばそこにも人員が必要だということになりますが、今回は正面装備の維持を優先しました。

 そもそも、実質的にGDP1%の枠内に収められている現在の防衛費の状況を変えることができれば人員の再配分など行う必要はないのです。つまり、今の規模から7~8兆円規模(GDP1.5%程度)まで予算を増額できればきちんと定数を満たすことができます。もしくは、BMD関連予算を別枠で設けるなどの対応が政府にできるのならば、予算を実員や予備自衛官の拡充、装備の充実などに使うことができます。ちなみに、防衛費の40~45%は人件費・食糧費で占められています。

 とにかく、現在の状況で運用能力を維持できるならば人員再配分や削減をする必要はありません。陸自は15万人規模を維持できるならばそのままでいてほしいのです。予算が増額されるならば優先的に海自や空自にまわすべきだとは思いますが、それは望めません。3自衛隊が防衛力を維持しつつこの厳しい局面を乗り切らなければならないのです。

 これに関して意見、指摘、疑問などのコメントをぜひお寄せください。公開非公開どちらでもかまいません。不特定多数の人間が見ているこのブログを防衛問題を考えていく場所にしたいと思います。それ以外のコメントでもいっこうにかまいません。それと、PCの不調で昨日から更新が遅れました。コメントをいただいたにもかかわらず、すぐに対応できずに申し訳ありませんでした。またこのような問題を含めてエントリーを作成するかもしれません。




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2009-12-16-Wed- PAC-3追加配備見送り 統幕長はジブチ訪問

▼PAC-3追加配備見送り
 2010年度からのPAC-3追加配備は見送られました。

PAC3配備、10年度は見送り 政府が防衛予算で / 共同通信

 政府は15日午前、防衛力整備に関する党首級による基本政策閣僚委員会を開き、10年度の防衛関連予算編成をめぐる暫定的な基本指針を了承した。指針は現在の「防衛計画の大綱」を基に防衛力整備を図る方針を確認したため、ミサイル迎撃用の地対空誘導弾(PAC3)の10年度からの追加配備は事実上見送られた。


 来年度末に策定する予定の防衛計画の大綱に追加配備を盛り込むということです。この際MD計画をある程度の規模までしっかりとやる覚悟があるのか、それとも先の見えないその場しのぎの計画を立てることになってしまうのか、しっかりとした議論を時間をかけてしてほしいと思います。PAC-3を追加配備するのならば、SM-3に加えてTHAADまで導入するくらいの計画をもって行わなければ税金の無駄遣いに終わってしまうのではないでしょうか。民主党連立政権下で国防の基本方針をしっかりと打ち出して、今後の防衛を実施していくべきです。

▼統合幕僚長がジブチ訪問
 折木統合幕僚長は今月6日にジブチを訪問し、海賊対処行動部隊を激励しました。

朝雲新聞社/統幕長 ジブチで隊員を激励 関係国とも意見交換

 統合運用実施中の統合幕僚長訪問です。ジブチには以前自衛艦隊司令官が訪問したことがありますが、将官の訪問はそれ以来でしょうか。また、統合幕僚監部は来年2月の上旬に派遣海賊対処行動航空隊の3次隊を派遣すると発表しました。現在派遣中の海自部隊は航空集団隷下の第5航空群(那覇)から派遣されていますが、3次隊は第2航空群(八戸)からの派遣になるということです。

 ところで、海賊対処についての評論家の発言を聞いたり、各ブログなどをみると、ジブチのことをジプチと勘違いしている人が多いような気がします。細かい字でわかりにくいかもしれませんが、ジプチではなく、ジブチです。ちなみに英語のつづりはDjiboutiです。正しく認識したいものです。




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2009-12-05-Sat- 米大統領、アフガニスタン新戦略発表 ④マクリスタルISAF司令官の方針転換PART3

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ナ「司令官自身、毎日殺人的なスケジュールをこなしています。4時半に起床し、5時には朝のジョギング。司令本部のビルとトレーラーに囲まれた迷路を走ります。これが彼の自由時間の過ごし方。」

genmcr18


記者「どのくらい走るんですか?」
司令官「約1時間走ります。」
記者「そんなに」
司令官「以前はもっと走ってました。」

ナ「食事は一日一回。それ以上とると体がなまるといいます。軍人でなければ僧侶になっていたかもしれません。」

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記者「贅沢な暮し?」
司令官「ええ、上等ですよ。他に何が必要です?機能的で快適な暮らしです。慣れてしまえば必要なものはすべてそろっている。他に必要なものなどないことに気づきます。家族がそばにいないのだけはちょっとねぇ・・・。でもそれ以外はほぼ完ぺきですよ。」

ナ「過去にも特殊追跡部隊の隊長として5年間このような暮らしをしていました。サダム・フセインを捕らえ、悪名高いテロリスト、アブ・ムサブ・ザルカウィを追跡し彼を殺害するために空爆を要請。大将に昇進した後も奇襲作戦に参加し続けました。」

司令官「私がそういった作戦で大活躍したなどと言うつもりはありません。現場に行って、自分の目で部隊がどれだけ大変な任務に立ち向かっているかを見定めるんです。ベテランが一緒に行ってやる気をみせることも大事ですからね。」
記者「でも危険ですね。ザルカウィに見つかっていたら大変なことになっていたかも。」
司令官「先に見つけました」

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ナ「日々、マラソンランナーのように走りまわる彼についていくのは大変です。戦況に関する最新報告を受けるのは毎朝8時半ちょうど。1分の遅れもありません。会議室はいつも満員。極秘情報の伝達は必要最低限にというルールは撤廃され、国防総省からアフガン政府軍司令本部との作戦会議まで常にテレビモニターを回線でつないで行います。」

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司令官「今朝私が気になったニュースは、タリバンが戦闘範囲を拡大しようとしている報告です。」

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司令官「出来る限り多くの部署の多くの人たちに聞かせたいという考えなんです。これでコミュニケーションの問題を解消したいと考えています。」
記者「数百人はいますよね」
司令官「そうですね」

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記者「それだけ多くの人が参加すると、機密情報の漏洩が心配じゃありませんか?」
司令官「それよりも、我々がやろうとしていることを知らない人がいることのほうがもっと心配なんです。多少のリスクはありますが、これが一番いい方法です。」

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ナ「様々な改革にもかかわらず、この国の地形は今も頭痛のたねです。アフガニスタンの国土はイラクより大きいにも関わらず、駐留部隊の数は半分。政府軍を今の2倍の40万に増やす計画ですが、それには数年かかる見込み。今必要な兵士を送ってくれる国はアメリカ以外にありません。」

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記者「あなたは、自分の要求が通る自身がおありですか?」
司令官「私自身の戦況評価を提出し、提言をするチャンスを与えられると確信しています。」
記者「増派への反発が強まる中、そのプレッシャーがあなたの任務に何か影響を及ぼすことは?」
司令官「それはありません。私は自分の任務を大変重要な物として受け止めています。正しい戦況評価を下すことが自分の責務だと信じています。」
記者「大統領と話されることは?」
司令官「ここに赴任して1度だけテレビ会議で話しました。」
記者「70日間で1度だけ・・・?」
司令官「そうです。」
記者「大統領に向かってそれはできません、ときっぱり断る自分を想像できますか?」
司令官「ええ、できます。その時点で自分がそう感じたら、大統領にはっきりそう言うつもりです。」

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吉川「一日一食、睡眠時間が4、5時間。本当にストイックでまるで禅寺の修行僧のようですよね」
PB「また、仕事に対して非常にはっきりとした哲学を持ってますよね。アメリカ軍が占領軍というふうに捉えられないように、住民の安全を最優先するというのは然るべき考え方だとは思うんですけど、これまでのアメリカの戦争でもしかして初めてかもしれませんね。」
吉川「でも、それでもやはりアフガニスタン情勢というのは一向に良くならないですよね。まず、民間人の犠牲者は増えていますし、アメリカ軍の犠牲者も過去最悪を記録していますよね。このままいけば、第二のベトナムになってしまうという声もアメリカ国内では本当に多くなってきました。」
PB「また、8月の大統領選挙をめぐってガタガタしましたよね。最近になってカルザイ大統領が一応再選ということに形上なったんですが、国民の信頼はがた落ちですよね。だから、安定した政権が果たしてできるのかどうか、分からないところでアメリカが国造りに挑むわけですけど、これまでだれも成功していない。仮に増派が決まったとしても、何十年もかかることなんですから、どうなるんでしょうね。非常にむずかいしいことだと思いますね。」

(終わり)


▼関連リンク
CBSドキュメント(TBS)
ISAF公式サイト




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2009-12-04-Fri- 米大統領、アフガニスタン新戦略発表 ③マクリスタルISAF司令官の方針転換PART2

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ナ「街に出かけるときは銃も持たず防弾服も着けません。」

司令官「アフガンの地元の知事は防弾服なんか着ていません。我々は彼らの街を防弾服をつけて歩いていますが、客人として訪問している私にとって大事なのは彼らを信頼しているというメッセージを送ることです。決して自分たちのほうが上だと思っていないことを伝えたいのです。」

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ナ「アフガニスタン西部の市場に出かけたときのことです。彼は護衛に下がるように指示しました。これで戦争に対する住民の声が直接聞けます。」

ナ「近頃タリバンはこれまで見られなかった地域にも姿を現し、勢力を拡大しつつあります。前線基地の兵士から状況は徐々にではあるが着実に好転していると聞かされても、現状を把握している司令官は手放しで喜べません。」

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司令官「問題は状況が好転しているかではなく、いかに速やかに好転するかだ。」

ナ「勝つために必要な条件をグラフで示しました。」

司令官「状況の好転度合いがこれより下でもグラフは上向きになる。ここを訪ねる度に君たちはこう報告する。『順調です。状況は好転しつつあります』と。大事なのはそこじゃない。最終的に戦争に負ければそれで終わりだ。」

ナ「彼の現状に対する焦りは明らかでした。」

司令官「我々が今後100年アフガンで良い事を続けても最後に負けることもある。実際良かれと思うことをしても勝利に繋がっていない。」

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司令官「もっと早く判断すべきです」

ナ「彼は国防総省とのテレビ会議で、要請した将校が何ヶ月も配属されないことに苦言を呈し、国防長官が示したデッドラインに真っ向から反対。」

司令官「戦略の大幅な変更には一年以上かかると長官はおっしゃいますが、必要な数の兵士や装備を揃えるだけで2~3ヶ月もかかるのは大きな痛手です。」

ナ「国防総省の官僚主義を切り捨てました」

司令官「普通の組織は要請に応えるための日程をカレンダーで決めますが、優秀な組織は残された時間を見て決めます。我々もそうすべきです。」

ナ「アフガニスタンでのアメリカ軍輸送部隊の横暴な運転にも――」

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司令官「地元住民から傲慢だとみなされ、彼らが道路を使う権利をないがしろにしていると思われてしまう。なんだかんだ言っても結局住民のための道路なんですから。」
記者「過去8年間の悪習を悔い改めようとしているようですね。」
司令官「そのとおりです。改めるべき悪習は山ほどあります。」

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ナ「彼の改革への強い思いは司令本部で掲揚する国旗にも及びます。今まで兵士が戦死するたびに半旗を掲げていた習慣をやめるように指示。」

司令官「常に半旗を掲げるような状態になってしまったんです。でも、今戦っている部隊は過去の犠牲にばかりとらわれているわけにはいきません。常に前向きで自信をもって戦わなくてはならないから。それで、国旗は通常通り掲揚するようにしたのです。」

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ナ「戦争は続いていますが、司令本部にはお気楽なムードも。たとえばこの庭です。兵士たちのたまり場ですが――」

記者「本部の雰囲気はちょっと甘すぎるとお考えのようですね。」
司令官「前線の基地での生活はもっと厳しい。彼らを支援するという任務に必要な物以外すべて排除すべきです。」
記者「では、木陰でカプチーノを楽しめるあの小さな庭をどう思われますか。」
司令官「射撃場に変えたいですね」

(次回へ続く)




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2009-12-03-Thu- 米大統領、アフガニスタン新戦略発表 ②マクリスタルISAF司令官の方針転換PART1

 1日に発表されたアフガニスタンに対する新戦略を受けてISAF司令官(兼アフガン駐留米軍司令官)であるマクリスタル陸軍大将は声明を発表しました。

新戦略は十分な人的資源を約束と、アフガン駐留米軍司令官

(CNN) オバマ米大統領が1日発表した計3万人の増派、2011年夏からの撤退開始などを盛り込んだアフガニスタン新戦略を受け、駐留米軍のマクリスタル司令官は同日、大統領は明確な使命を与え、目標を完遂させる十分な人的資源などを約束したとする声明を発表した。

同司令官はオバマ大統領に対しアフガン情勢、治安改善などに関する評価報告書を先に提出しているが、この中で最大4万人の追加派兵を要請していた。

司令官は声明で、オバマ大統領のアフガン新戦略は同国に安全をもたらし、テロリストの避難地とすることを防ぎ、地域や国際安保への脅威を減じるための重大な一歩であると強調。アフガン軍事作戦で否定出来ない現実は、アフガン国民も国際社会も同国がテロと暴力の聖域になることを望んでいないということであると述べた。


 今回はTBSが毎週放送している「CBSドキュメント」の中から、今年11月12日に放送されたマクリスタル大将への密着取材の様子を書き起こして紹介します。司令官がどのような方針をとっているのか。今まではどのようにやってきたのか。司令官の1日は?。などなど参考になる部分が多く詰まっていると思います。(一部省略しています。)数回に分けて紹介していきます。



「マクリスタル司令官の増派論」

▼登場人物略称
CBS放送マーティン記者→記者
マクリスタル司令官→司令官
ナレーション→ナ
吉川美代子アナウンサー→吉川
ピーター・バラカン(ブロードキャスター)→PB


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吉川「今年3月、オバマ大統領はアフガニスタンの駐留アメリカ軍を21000人増派すると決定しました。しかしその後も、タリバンによる攻撃や大統領選をめぐる混乱など状況が好転する兆しはありません。」
PB「9月、現地で指揮を執るマクリスタル司令官が提出した評価報告書がワシントンポストに掲載され、大きな注目を集めました。司令官は4万人規模の増派をしなければこの戦争に勝つことはできないと主張したのです。」

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記者「当初の予想と比べてアフガン情勢は?」
司令官「予想していたよりいくぶん悪いと思います」
記者「どういう点が?」
司令官「思った以上に駐留軍に対する攻撃が広がっています。特にアフガニスタン北部と西部で戦火が拡大していたのです」

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ナ「アフガニスタン駐留アメリカ軍のスタンリー・マクリスタル司令官は、カブールの司令本部で毎朝戦況報告に目を通します。しかし、彼はそれだけで戦況を把握できるとは思っていません。毎週2度か3度ヘリコプターで現場へ飛び、自分の目で確認します。」

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司令官「私はすべての無線交信を聞くことも無人機が捉えた現地の映像を見ることもできます。でもそれで現状を把握したと思ったら大間違い。無線や映像だけで分かった気になるのが危ない。戦場で兵士と行動を共にしなければ現状は分かりません。銃弾の飛ぶ音を自分の耳で聞かない限り戦況分析など出来るわけありません。」

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ナ「眼下にはイギリスから旧ソビエトまで数々の侵略者を締め出してきた山岳地帯が。戦争開始から8年。失敗の瀬戸際にある戦略は微調整だけでは済まされない。司令官は兵士たちにわれわれは今までの考え方も作戦もすべて変えなくてはならないと新たな武装勢力掃討作戦の方針を示しました。今では戦争で疲弊した村の住民を守ることのほうが重要な任務になったといいます。たとえそれが大きなリスクを背負うことになっても。」

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記者「わが子を戦場に送りだしている親にとってはありがたくない命令ですね。兵士により大きなリスクを背負わせるわけですから。」
司令官「これは理解しがたいことかもしれませんが、われわれの直面する最大のリスクはアフガン国民の支持を失うことだと部下に言い聞かせています。住民の反感を買えばアメリカの戦略は失敗する。アフガニスタンの人々が我々を占領者や敵だとみなせばアメリカは勝てない。そうなれば我が軍の死傷者は劇的に増えるでしょう。」

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記者「彼はただ敵を殺すだけの従来の軍事作戦ではこの戦争に絶対勝てないと強調。民家を破壊し、民間人の犠牲を出せば出すほど地元住民の反感を買い抵抗勢力を勢いづかせるというのです。アメリカはこの8年間自ら墓穴を掘ってきたようなものだと言います。」

ナ「司令官によればこの1年間にアメリカ軍など駐留軍の犠牲になった民間人の死者は265人。彼は毎週行うテレビ会議で、新しい戦略の成否は犠牲者の数を減らせるかどうかにかかっていると発言。」

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司令官「これは以前から認識していたが、2ヵ月半現地にいて民間人犠牲者の問題が予想以上に重要だと気づいた。これは戦争の勝敗を左右する問題だ。」

ナ「彼は思い切った行動に出ました。住民の居住地域への空爆を禁止したのです。たとえその中の建物から敵が発砲してきたとしても。」

司令官「この戦争に勝つためにはこれまで我々がやってきたことにかかわらず、アメリカはやり方が変わったということをはっきり示す必要があるのです。」
記者「アメリカ軍の力の源泉は砲撃や空爆など圧倒的な軍事力です。それが今のアフガン情勢では出番がないと?」
司令官「ええ。ハンマーを手にするとすべてが釘に見えるというでしょ。そういう作戦はもう通用しません。」

(次回へ続く)




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2009-12-02-Wed- 米大統領、アフガニスタン新戦略発表 ①演説の内容とアフガンの状況

 米国のオバマ大統領は1日午後(日本時間2日午前)、ニューヨーク州ウェストポイントの陸軍士官学校で演説し、アフガニスタンに対する新しい戦略を国民向けに発表しました。その中で、3万人の兵力を2010年の夏までに追加増派することを示し、また、2011年7月からアフガニスタン駐留米軍の撤退を開始する方針も示して戦争終結に向け今回の戦略に対して国民の支持を得たい模様です。ただ、いつまでに完全な撤退を行うのかということは示さず、状況次第と言うにとどまりました。増派に伴う費用は軍だけで300億ドルになるということです。

 現在、アフガニスタンにはNATO軍45000人、米軍68000人が駐留しています。ISAF(国際治安支援部隊)の中でアフガニスタン国内の担当地域が分けられており、PRT(地域復興支援チーム)も各地に展開しています。次の画像2つはアフガニスタンの地図と各地域とPRTの指揮を示したものです。


afghan map 1

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(クリックすると拡大できます)(画像はISAFより)

 アフガニスタン北部にはNATO軍、南部には米英軍が多く展開しています。そして、特に治安が悪いのが南部や東部のパキスタンとの国境に面している地域です。タリバンの影響力が特に強いのはNurestan(ヌーリスターン州)、Daykundi(ダーイクンディー州)、Helmand(ヘルマンド州)で、Kandahar(カンダハール州)、Zabul(ザーブル州)、Paktika(パクティーカー州)などもタリバンの影響力は強く、戦闘も激しい地域となっています。パキスタンとの国境沿いが何故タリバンの影響力が強く、治安が回復しないのかといえばパキスタンにも多くのタリバン勢力が存在しており、拠点が存在するからです。長い国境を越えてアフガニスタンとパキスタンを行き来するのはタリバンだけではなく、普通の市民の日常生活となっています。よってパキスタンとの協力がアフガニスタンを安定化させるのに必要不可欠なわけです。これは今回の演説でも触れられています。

 3万人の増派となるわけですが、先月の報道では、まず海兵隊から9000人が今述べた治安の悪いヘルマンド州に投入される模様です。そして、来年2月に陸軍から1000人が派遣されアフガニスタン軍や警察の訓練にあたるということです。今回の新戦略では掃討作戦とアフガニスタンが自力で治安維持できるようになるために、国軍や警察の訓練を行うということが重要になってきます。オバマ大統領は1年半という短い期間でアフガニスタンの治安を回復し、アフガニスタンでの戦争を終結に持っていき、新戦略の成功を示さなければなりません。それゆえ一気に兵力を投入し、片を付けようというわけです。しかし、現駐留兵力68000人に30000人加えて米軍の地上兵力が約10万になるとはいえ、他国の協力は絶対に必要です。米国はISAF参加42カ国への増派を求めており、イギリスはすでに500人の増派を決定しています。NATOのラスムセン事務総長とフランスのサルコジ大統領は支持を表明しました。事務総長は米国以外の42カ国から少なくとも5000人の増派を見込んでいるとし、仏大統領はアフガン国民を支援したいすべての国に対して新戦略に従うように求めるという考えを表明しました。今後NATO加盟国をはじめISAF参加主要国が増派を実施していくという流れになる模様です。

 以前、日本の撤退を機に各国が撤退を行うのではないかということを申しましたが、今回の新戦略発表でそれは無くなるのでしょうか。増派となると各国の世論がどのような反応を示すかが問題となってきます。米国でさえ世論は割れています。新戦略は非現実的、期待できないという声もあります。期間が短いということと撤退時期がすでに明らかになっているということが要因にあります。タリバンが力を蓄えて1年半掃討に耐え、駐留軍の撤退が始まってから活動を活発化させたらどうなるかということです。治安確保を行うと同時に民生支援も必要になります。具体的に何を行わなければならないのか、兵力をどのように使うのかが今後重要になります。ただ、根本的な問題として現在の政府や警察での汚職や麻薬など諸問題を解決しなければならないということがあります。これらが改善されなければいくら他国が血を流してもアフガニスタンに平和が訪れることはありません。

(後編へ続く)


▼関連リンク
オバマ大統領演説要旨(共同通信)
ISAF参加国(Wikipedia)
ISAF公式サイト




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2009-12-01-Tue- スペインの漁船が海賊を撃退

 スペイン国防省によると、11月29日朝にインド洋で海賊の襲撃を受けた漁船が海賊を撃退しました。

Spanish fishing boat repels pirate attack
November 29, 2009 11:05 a.m. EST

Madrid, Spain (CNN) -- A Spanish fishing boat repelled an attack by suspected pirates Sunday morning in the Indian Ocean off the African coast, Spain's ministry of defense said. ・・・


スペイン漁船、アフリカ沖インド洋で海賊撃退

マドリード(CNN) アフリカ沖のインド洋で29日朝、スペインの漁船が海賊の攻撃を退けたことが、スペイン国防省の発表で分かった。 ・・・



 漁船は軽火器とグレネードランチャーによる攻撃を受けました。けが人はおらず、船体への被害もありませんでした。漁船が何故海賊を撃退できたのか。漁船には民間の警備員が乗船していました。これは海賊による漁船乗っ取りを阻止するために国会の承認のもとで派遣されているものです。先月中旬、5日間の訓練を受けた約50人の警備員がトロール漁船へと派遣されました。武装した警備員がタンカー等に同乗するケースはもちろんこのケースが初めてではありません。最近では11月18日に、以前海賊に襲撃されたことのある米船籍のコンテナ船マースク・アラバマが再び海賊による攻撃を受けましたが、同乗していた警備員が応戦し、LRADを用いて海賊を追い払いました。このケースでは警備員によって海賊を追い払うことができましたが、警備員が乗っていながらも攻撃を受け、乗っ取られたケースも過去に存在します。

 スペイン船の乗っ取りは10月2日にもありました。これは一ヶ月半たってから犯人が拘束され、その後人質36人が解放されましたが、それも受けて民間警備員の派遣がなされています。容疑者2人は検察によって起訴され、スペインで海賊犯を裁く初めての裁判となります。

 スペイン海軍は現在2隻のフリゲートを派遣しています。メンデス・ヌニェスカナリアスです。また、P-3哨戒機も派遣しており、これらスペイン海軍の部隊はEU主導のオペレーション・アタランタの一部として海賊対策に従事しています。

F104 メンデス・ヌニェス
F104 メンデス・ヌニェス

F86 カナリアス
canarias1

canarias2



2008年海賊襲撃状況1(PDF)
2008年海賊襲撃状況2(PDF)

(画像、PDFはすべてスペイン海軍より)


▼関連リンク
European Union Naval Force Somalia
スペイン海軍(スペイン語)




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