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Nの軍事ブログ

ご批判、意見、訂正など是非お願いいたします。何か情報があれば是非コメントをお待ちしております。
2009-04-30-Thu- Malabar 2009

 26日から、太平洋上で日米印3カ国海軍共同演習Malabar(マラバール) 2009が行われている。海上自衛隊は護衛艦「くらま」、「あさゆき」と航空機を参加させている。部隊指揮官は第2護衛隊群司令の野口均海将補。海自関連の演習の様子を以下に紹介する。


malabar 2009 1

malabar 2009 3


 一番手前から、インド海軍駆逐艦Ranvir(ランヴィール)、米海軍駆逐艦Fitzgerald (フィッツジェラルド)、海上自衛隊護衛艦くらま


ブルーリッジ側方を通過する護衛艦くらま
malabar 2009 2


(米海軍より)




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2009-04-29-Wed- 世界の艦船6月号

 更新が遅くなってしまいましたが、お知らせしておきます。このブログを見るような皆様ですから、確認をされているとは思いますが、先日発売された世界の艦船6月号に本ブログの記事で取り上げたものがいくつか掲載されていました。


世界の艦船 2009年(平成21年)6月号 通巻707号


・AMAN 09多国間共同訓練
 日本から派遣された海上自衛隊のP-3Cの写真が掲載されているほか、参加した他国の艦艇の写真も掲載されています。

・ソマリア海賊対策 ロシア海軍部隊
 統合幕僚監部提供の写真がありました。

 是非ご覧になってはいかがでしょうか。手抜き更新で申し訳ありませんでした。




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2009-04-28-Tue- 新型インフルエンザ認定 防衛省の対応は

 今朝、舛添要一厚生労働大臣は記者会見で、メキシコなどで感染が確認されている豚インフルエンザを厚生労働省として新型インフルエンザとして認定すると宣言した。これは、世界保健機関がフェーズを3から4へ引き上げたことを受けたものである。詳細はニュースなどを参考にしてほしい。今日の記事では早速動き出すことになった防衛省の動きを主に見ていこう。

共同通信:厚労相、新型インフル発生を宣言 水際対策の徹底など表明


自衛隊医官の活動が決定
 新型インフルエンザ認定を受けて、成田空港では機内検疫が行われた。しかし、人員が足りず、1回にかかる時間が増大した。また、今後感染がさらに拡大し、検疫に関わる医師が不足する可能性を考慮し、舛添要一厚生労働大臣は28日の新型インフルエンザ対策本部の会合において、浜田靖一防衛大臣に自衛隊医官の協力を要請した。時事通信によると、これを受けて防衛省は陸上自衛隊の医官・看護官と防衛医科大学校の医師計約30人を成田空港の検疫所に派遣することを決定し、30日から活動を開始するという。


防衛大臣会見概要
 また、28日午前に行われた防衛大臣会見概要を以下に防衛省サイトから転載する。

1 発表事項

 なし。
2 質疑応答

Q:豚インフルエンザに関する質問です。フェーズが4に上がりましたが、このことに対する受け止めと防衛省の今後の対応についてお聞かせ下さい。

A:政府に「新型インフルエンザ対策本部」が設置をされたことによって、同対策本部での基本的対処方針を踏まえつつ、防衛省としても関係省庁間で情報共有や連携を図りながら、「防衛省新型インフルエンザ対策計画」に基づいて具体的な対策を検討することになります。

Q:具体的には、防衛省としてどういう担当をされるのでしょうか。

A:いずれにしても、これから色々な検討をしていくことになろうかと思いますが、その辺も含めて今後の対応ということになろうかと思います。

Q:現時点では具体的な対応を取るということは今のところは考えていないと。

A:今のところはそうです。これから検討して、どのようなニーズがあるのかも含めてということになろうかと思います。

Q:今の閣議閣僚懇では総理から特段指示はありましたでしょうか。

A:当然、現在こういう状況ですから、今後の対策や本部の在り方等についてのお話がありました。



今後の自衛隊活動予想
 世界保健機関(WHO)がフェーズをあげたように、感染が拡大している。メキシコでは必死に感染拡大を抑えてはいるが、油断はできない状況である。現時点の状況では民間の旅客機が運航しているが、今後状況が悪化すれば最悪の場合運航が停止する可能性もある。その場合、感染被害各国に取り残された邦人を輸送するため、政府専用機や航空自衛隊の輸送機などの自衛隊機や自衛艦などが派遣されるかもしれない。邦人の収容が確認されれば、最後に大使館員の輸送も行われることになるだろう。

 また、すでに決定したことであるが、検疫に必要な人員の更なる派遣も行われるだろう。防衛省では防衛省新型インフルエンザ対策計画の中でこのことを予想し、記している。そして、最悪の状況であるパンデミック発生時にはやむを得ず自衛隊病院の活用や支援物資輸送などでの活動も予想できる。

 とりあえずは活動を行う自衛隊が自身を新型インフルエンザを守り、活動を行ってもらわなければならないだろう。


海上保安庁の活動
 港や海岸での水際対策を行うために、海上保安庁の重要性は言うまでもない。港湾での検疫強化や、密入国者の徹底した取締りなどである。離島への物資輸送なども行うことになるという。また、防衛省より可能性は低いと思われるが、海上保安庁の航空機や巡視船などによる邦人輸送支援の可能性もある。ちなみに、前回の記事では記さなかったが、海上保安庁も新型インフルエンザ対策行動計画を示しており、その中に具体的行動が記されている。


その他
 新型インフルエンザの可能性がある症状が出たと感じたら、外出は控え、保健所に相談をする必要がある。インターネットなどの安易な情報を鵜呑みにせず(これもその中のひとつだが)、専門家に確認をとって必要な策を講じなければならない。日本ではまだまだ新型インフルエンザの知識が足りないように思える。あらためて以前の記事「その時あなたは 1.新型インフルエンザの恐怖」のリンクをはっておく。

 新型インフルエンザには潜伏期間があることや、検疫が行き届かないことが原因で新型インフルエンザウイルスが日本国内にすでに持ち込まれている可能性がある。移動手段が進歩したことであっという間に感染が拡大するため、個人的な対策が最後の砦となる。また、これから大型連休で海外にわざわざ行って、ウイルスをお持ち帰りしてくる人が現れるかもしれない。対策をしないよりは大げさでもしておいたほうがいいに決まっており、十分に対策を講じることをすすめておく。

 最後に、豚インフルエンザよりも以前に注目されていた鳥インフルエンザだが、忘れてはならない。アジアで死者が出ているものだが、中国の内陸部では実は鳥インフルエンザウイルスが蔓延している可能性も疑われている。新たなインフルエンザウイルスが新型インフルエンザに認定されたことで、目の行き届かない場所にますます目が向けられなくなることを懸念する。




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2009-04-26-Sun- 豚インフルエンザ感染拡大 状況は

 メキシコやアメリカで豚インフルエンザウイルスの人への感染が拡大している。25日のメキシコ保健相の会見では、メキシコでの感染による死者は81人だと発表された。メキシコと陸続きの国境を持つアメリカ国内でも感染者が見つかり、豚との接触がないことから人から人への感染の可能性が高い。感染が疑われている者の中には症状が軽かったり、快方に向かっているケースもあるが、感染が拡大しているのは事実である。昨年12月のシリーズその時あなたは 1.新型インフルエンザの恐怖で新型インフルエンザについて紹介した1人として少し状況を見ていこう。

●メキシコの発表と対策
 今月23日に米疾病対策センター(CDC)がテキサス州とカリフォルニア州で7人の豚インフルエンザウイルス感染者が出たと発表した。そして、24日、WHO(世界保健機関)報道官がメキシコ国内でインフルエンザのような症状の患者が異常に増加していること指摘し、3月末以降に60人以上が死亡したと発表した。25日にはメキシコでの死者が81人と発表され、感染者はさらに増大した。同日、メキシコ政府は感染拡大阻止のため、緊急措置を発表した。メキシコではマスクが店頭からあっという間になくなり、軍が街頭で無料配布することになった。メキシコ政府は16日に厳戒態勢に入っていたが、発表はウイルスの型が確定した後の23日だった。23日夜の発表で休校などの対策を講じたが、感染拡大と長期化を考慮して緊急措置をとることになった。


●各国の対策強化
 WHOでは警戒レベル3から4への引き上げを見送った(警戒レベルについては是非過去の記事を参考にどうぞ)。引き上げには更なる情報が必要とし、緊急事態という認識を示した。大量感染を受け、中南米各国は国際空港や港などでの検疫を強化し、警戒を強めている。日本では首相官邸に設置されていた情報連絡室が官邸連絡室に格上げされた。また、10省庁での緊急会議が開かれ、情報収集を強化することが確認された。また、空港で検疫を強化し、水際でウイルスの進入を防ぐ策をとっている。日本はどの国とも陸続きの国境を持たず、外国からウイルスが進入するとすれば海や空港からであることから、ピンポイントで対策を講じれば進入を防ぎやすい。


●防衛省・自衛隊の対応は
 やはり軍事ブログであるからしてこれを少し紹介しておこう。防衛省は政府の「新型インフルエンザ対策行動計画」を踏まえ、「防衛省新型インフルエンザ対策計画」を策定した。今年の3月17日に発表された。その中で在外邦人の輸送や医官等による検疫支援などが記されている。現時点ではないが、もし更なる感染拡大が確認され、在外邦人に危険が及ぶようであれば、外務省からの依頼に応じる形で自衛隊機による輸送支援が行われる可能性もある。政府として、自衛隊を動かすことになれば、慎重な対応をしなければならないが、民間機などに限度があれば迅速に対応を決定しなければ邦人の生命を危険にさらすことになりかねない。あらゆる状況に準備する必要がある。(ちなみに、今年も行われた多国籍間共同訓練コブラ・ゴールドに、在外邦人等の輸送に関して統合運用能力を高めるために自衛隊が参加している。統合幕僚監部に画像あり)


 今後の状況がどうなるかはわからないが、メキシコの対応などを精査し、万が一に備えて日本ではどのような対応をとるべきかなどの検討を進め、パニックを引き起こさないようにしなければならない。訓練を地域ごとに行ったとはいえそれが国民全体に浸透しているわけではない。我々国民がどうしなければならないのかを政府は示し、備えさせる必要がある。




 

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2009-04-25-Sat- 今週の軍事報告4/19~25

▼21日
●F-35の情報が流出か

●ロシア軍、新型攻撃ヘリ受領
 ロシアの北カフカーズ軍管区に新型攻撃ヘリMi-28Nの最初の6機が引き渡された。


Mi-28N紹介動画





▼22日
●T-38が模擬格闘戦でF-22を撃墜
 これはEA-18Gに続き2機目のこと。T-38は米軍のジェット練習機。





▼23日
●中国で国際観艦式






▼24日
●演習シーブリーズに他国軍が参加しない見通し
 今夏にウクライナのクリミアで行われる予定の演習シーブリーズ(Sea Breeze)に他国軍は参加しないとの見通しをウクライナ海軍高官は述べた。

▼25日
●ロシア軍攻撃機、キルギスで演習に参加
 参加したのはSu-25。




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2009-04-23-Thu- 今日の報告20090423

●海賊対処陸上警備に中央即応連隊から派遣
 ソマリア沖アデン湾周辺での海賊対処のために派遣されるP-3C哨戒機の活動拠点を警備するため、陸上自衛隊中央即応集団隷下の中央即応連隊(中即連)を派遣することが発表された。

 やはり、精鋭が派遣されることになりましたね。イラク派遣の際には第1空挺団などが警備のために派遣されており、海外派遣時の警備には陸自から精鋭が派遣されるのが普通になりつつありますね。海自から一般の警備要員を、という私の意見はまったく相手にされなかったようですねw。まあ、何せはじめてのことですから、警備を行って、そのよい経験をそれ以降の部隊運用に活かしてほしいです。


●中国人民解放軍海軍創設60周年記念国際観艦式
 23日、中国山東省青島市沖で国際観艦式が行われた。14カ国の艦艇が参加し、29カ国の代表団が観艦式に参加した。日本からは招待されなかったため艦艇を派遣せず、加藤耕司海上幕僚副長が参加した。

 海上自衛隊の艦艇が招待されなったのは非常に残念です。海上幕僚副長の加藤耕司海将も「今回、これだけ多数の国から招待されているのに、その中に海上自衛隊の艦船が入っていないのは残念だ」と語っています。こうした国際観艦式に隣国からの艦艇を参加させないというのは少し侮辱的にも感じられます。ただ、まあ中国が決めることですからしょうがないですが。海自は広報担当を派遣しているのでしょうか。米海軍はラフヘッド大将が参加したこともあり、サイトで大々的に取り上げています。前にも申しましたが、自衛隊幹部の動向をもっとサイトで紹介してほしいと思います。こうした広報は非常に重要ではないでしょうか。

 中国海軍の威容を見せつけられた今回の観艦式でしたが、今年の秋には海上自衛隊の観艦式があります。日本は日本なりに海自の威容を見せつけてやりましょう。

 しかし、中国は空母建造も進めているようですし、すでに海軍航空隊もありますし、本物の海軍になるために戦力をどんどん強化していくでしょう。日本ももう防衛予算を毎年削減している余裕はありませんね。日本のおかれている立場と、位置をもう一度確認したほうがいいと思います。




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2009-04-22-Wed- 海上自衛隊特集 海自の曲芸飛行隊について(補足)

 前回、コラムの最後に豆知識として海自の曲芸飛行隊について「ブランエール」と紹介しました。しかし、それは今となっては旧通称になっており、現在の名称は過去のコールサインでもあった「ルーキーフライト」なんです。大変失礼いたしました。

 今年もまた基地の一般公開があると思いますから、行ってみるのもいいでしょう。小月基地は山口県下関市です。


ルーキーフライト

(小月航空基地サイトより)




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2009-04-22-Wed- 海上自衛隊特集 海自航空戦力を増強せよ

 海上警備行動に基づき、現在2隻の護衛艦がソマリア沖アデン湾で船団護衛活動を行っている。それに加えて、P-3C哨戒機2機の派遣も決定した。厚木基地の第4航空群からの派遣になるようだ。1機が主任務につき、残りの1機は予備だという。

 P-3C哨戒機(固定翼)が派遣されることからわかる通り、海賊に対処するためには広範囲をカバーしなければならないため、航空機の存在が大きい。すでに派遣されている護衛艦にもSH-60K哨戒機(回転翼)が搭載されており、インド洋で補給支援活動に従事している護衛艦にも搭載されている。ヘリがあれば艦の進路をずらすことなく周辺を警戒でき、目視も可能である。海上自衛隊の海外任務が増える中、実はこうした作戦機が近年の防衛費削減から定数が減らされている。海上自衛隊の予算は、平成20年度で1兆694億円となっており、3自衛隊の中で一番低く、定員も毎年削減されている。平成21年度は1兆699億円。そこで、今回は海自航空戦力を増強せよという題名にした。


●P-3Cと後継機
 海賊問題以前からP-3Cの名前は不審船事案や流氷観測などでメディアに登場することはあったが、海賊対処で初めて海外派遣されるということで注目を集めている。不審船事案では対潜爆弾を投下し、水の壁をつくり不審船の行く手を阻んだこともあるが、海賊相手にしかも海外に拠点をおいて哨戒活動を行うの初めてのことである。

 そんな表舞台で活躍する予定のP-3Cも先月に1機が退役した。第4航空群第3航空隊に所属していた5002号機で、昨年11月14日に飛行を終了し、今年3月24日に除籍された。今後少しづつP-3Cは除籍されていくが、それとともにP-3の派生機も退役していく。海上自衛隊に配備されているP-3の派生機はEP-3(電子戦機)、UP-3C及びD、OP-3Cである。これらP-3機の後継機はどうなっているのか。

 後継機は現在厚木航空基地の第51航空隊(51空)で調整が続くP-X(P-1)である。これは国産の固定翼哨戒機で、70機程度の配備が予定されている。現在配備されているP-3Cよりも少ないが、能力が飛躍的に向上しているために、問題ないということである。上記の多用機もこれによって置き換えられることになるだろう。そうなれば、合計で約80機程度が配備される予定である。ただ、現時点ではまだ実戦配備の予定はないようで、調整がしばらく続く。もしかしたら観艦式で飛行がみれるかもしれない。

 P-3CやP-1には魚雷や対潜爆弾のほかに対艦ミサイルも装備できる。P-1には最大8発が搭載できる。また、海上自衛隊は調達情報からAGM-65マーベリックミサイルを導入しているとみられ、実際に運用しているかどうかはわからないが、P-3CやP-1で使用されることになるだろう。マーベリックミサイルは空対地誘導弾であり、対地、対艦など様々な用途で使用することができ、海上自衛隊が対地攻撃能力を強化しようとしている?という見方もできるかもしれない。


●SH-60K
 SH-60Jをもとに開発されたヘリコプターであるSH-60Kは能力が飛躍的に向上し、新型機といってもいいくらいのものだろう。SH-60Jの今後の退役に伴い、SH-60Kが配備される予定だが、全てが入れ替わるわけではなく、SH-60Jの後継機がいま検討中である。ただ、最終的に全体としての機体数は減少方向に向かう。

 SH-60Kは先月就役したひゅうが型護衛艦に搭載されており、高度な運用が期待される。また、SH-60Jよりも多彩な武器を搭載できる。特に興味深いのは、平成16年度の調達情報で確認できる米陸軍省から調達しているAGM-114Mヘルファイアミサイルである。ヘルファイアミサイルは空対地ミサイルであり、ここでもヘリに対地攻撃能力を強化しようとしている?という勝手な想像ができるが、実際には小型船舶などに対して使用される模様である。

 ここで質問。海上自衛隊で陸上戦闘任務が与えられているのではないかとうわさされている部隊はなんでしょうか。また、先日米海軍特殊部隊SEALが行ったような海賊の狙撃を洋上で行うことができる海自の部隊は何でしょう。両方に当てはまるものを答えなさい。

 正解は特別警備隊(SBU)(他にありますかね?)。あれ?特別警備隊が「狙撃」とはなんぞやと思われた方もいるかもしれないが実は平成16年度予算で狙撃銃が調達されている。狙撃銃はドイツH&K製のMSG-90が調達されている模様。とにかく、狙撃銃のことは抜きにせよ、SH-60Kに乗り込んだ特別警備隊が地上作戦を行い、場合によってはヘルファイアで戦車を撃破するかもしれない?という勝手な想像をしてしまった。余談で想像を盛り込んで申し訳ありません。ただ、AGM-114Mヘルファイアミサイルはバンカーや軽車両攻撃用であるため、陸戦の話はあながち想像でないかもしれない。


●MCH-101
 MCH-101は掃海ヘリである米国製のMH-53Eの後継機として導入された掃海及び輸送ヘリである。MCH-101はひゅうがでの艦載機としての任務を付与され、その活躍が期待される。これからひゅうが型やそれに準ずる護衛艦が建造される中で、このような輸送機の活用は欠かせない。なぜなら、艦隊旗艦としての能力だけでなく、司令部としての重要な洋上拠点となりうる護衛艦への物資、人員輸送が極めて重要になるからである。それに加えて、特別警備隊の運用も深く関わってくるため、輸送ヘリは是非とも大量導入すべきである。


●YS-11
 YS-11は民間航路から2006年に引退しているが、自衛隊ではバリバリの現役である。海空自衛隊で使用されている。海上自衛隊では物資輸送の中心を担い、厚木から硫黄島や南鳥島などに物資を運ぶ重要な航空機である。ところが、すでに就役から40年にもなる機体は部品をなんとか調達している状態で運用されており、安全運航ができていてさすが日本製は丈夫だと感じさせるとはいえ、これだけ年月がたつとそろそろ後継機を選定する必要がある。



 以上、それぞれに紹介をつけてきたが、海上自衛隊の作戦機は減少方向に向かい、部隊規模も縮小されている。昨年3月に海上自衛隊航空集団隷下部隊は大規模な再編がなされ、機体数も削減された。その一方、個体での能力は向上している。任務がどんどん増加する中で数を質で補うことができるかどうかはわからないが、今後の運用方法が重要な問題となってくるだろう。

 先日就役した護衛艦ひゅうがは重要である。ひゅうが型に哨戒ヘリを最低4機、輸送ヘリを2期常備して運用する体制が整えば将来的にソマリア沖やインド洋で活動する際に大きな活躍ができることに間違いない。護衛艦の数も減らされることになれば機動力をもつ航空機は重要な作戦要因となる。日本近海の不審船対処やソマリア沖の海賊対処などの問題に効果的に対処するためには必ず航空戦力が必要になる。作戦機の削減をだけでなく、予算や人員の削減をこの今する必要は全くなく、この問題に経済危機はまったく関係ない。船が襲われるほうが金銭面のみならず人的、精神的に大きな損失が出るだろう。

 題名の通り航空戦力の増強を訴えているわけだが、よく見ると新しいミサイルを導入したりするなど必要なところにはしっかりと予算を割いているのかなと思うところもある。実際このような主張をせずとも知らないうちにしっかりとした環境整備を整えつつあるのかもしれない。



 最後に海上自衛隊航空関連豆知識を入れて終わりにします。

豆知識1.海上幕僚長の赤星慶治海将は固定翼機操縦士出身。航空集団司令官もつとめている。

豆知識2.ブルーインパルスのような曲芸飛行チームが海上自衛隊にもあるのか?あります。名前は「ブランエール(BLANC AILE)」。小月航空基地第201教育航空隊の教官によるもの。T-5練習機4機で行われる。スモークはない。個人的には凄く気に入っている。もっと対外活動を行って、規模も大きくしてほしいと思う。ブルーインパルスに匹敵するぐらいの飛行隊にしてほしい。













 ちなみに米海軍のアクロバット飛行隊はブルーエンジェルス。




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2009-04-21-Tue- 海上自衛隊特集 ひゅうが一般公開

 海上自衛隊特集をお送りします。最初は現地リポート(ひゅうが一般公開)、最後はコラムです。


▼2009年4月11日護衛艦ひゅうが一般公開
 本当にいい天気でした。日焼けしましたよ。
 ひゅうがの一般公開については大体他のブログなどでも紹介されているので詳しく更新しません。この中ではNが特に気になったところを載せます。リンクにあるいそっこさんのブログも参考になさってください。


●ひゅうが

ヴェルニー公園から
ひゅうが 全体

ひゅうが 1

ひゅうが全体2

いよいよ乗艦
乗艦


●多目的区画
 巨大なモニターが数台ありました。

モニター1

モニター2


●飛行甲板
 本当に広いです。今までの護衛艦では全く考えらないものです。ヘリの運用もバッチリですね。

ここから飛行甲板にあがりました。
出口

飛行甲板3

飛行甲板2

飛行甲板

 ヘリを固定するためのロープなどを引っ掛けるためにあるようです。これが甲板上に無数にありました。上には簡単なふたが置いてありましたが。


●武装

12.7ミリ機関銃(銃座)
銃座1

銃座2

ファランクスBlock1B(CIWS 高性能20ミリ機関砲)
ファランクス

Mk41 VLS
vls

魚雷発射管
魚雷発射管


 余談であるが、ひゅうがにも他の護衛艦と同じく小火器が搭載されている。要するに拳銃や小銃である。しかし、ひゅうがには今までの護衛艦にはなかった散弾銃(ショットガン)が備えられている模様。そのショットガンとはイタリアのベネリ社製M3である。公開されている調達情報に掲載されているが、2丁383250円で調達されている(19年度)。そのほか9ミリ機関けん銃なども備えられている。


●艦橋構造物(アイランド)とヘリ
 アイランドは右舷に寄せられており、前部に艦橋、後部に航空管制室が設けられている。


見えるのは艦橋部分 
アイランド

航空管制室
航空管制室1

航空管制室2

 航空管制室の窓に星2つが見えるが、これは海将補旗である。旗も掲げられていた。

海将補旗

飛行甲板を照らす照明器具
ライト類


 次は展示されていたSH-60K哨戒ヘリ。展示用なのかペイントが施されていた。

ヘリ2

ヘリ1

 Air Boss(エアボス)とは飛行長のこと。この意味はひゅうが初飛行長ということか。


ヘリ3

航空管制室内部の解説図
航空管制室の図

 内部の様子がこれでわかりますね。エアボス(飛行長)の他に発着艦管制官(LSO)、飛行甲板管制官、飛行甲板管制官補佐、管制圏内管制官、出発進入管制官(SCA)、出発進入管制官(ARTS)の位置が記載されています。


撮影する自衛官 ひゅうが帽子がいいですね
写真を撮る自衛官



●車両
 ここでは飛行甲板で使用されている車両の画像を掲載する。

牽引車
牽引車

消防車
消防車

クレーン車
クレーン車

クレーン車内部 ヘルメットにも海自マークが かっこいい
クレーン車内のヘルメット


●格納庫
 最後に航空機用エレベータを使って格納庫におりました。航空機用エレベータは前後2基が備えられており、ヘリに搭載する武器用のエレベータも2基備えられている。

エレベータ

エレベータ2

エレベータ操作室
エレベータ操作室

 実はこのエレベータ操作室にひゅうがに乗艦している2人の女性幹部のうちの1人を偶然見つけました。このASCII.jpの記事でも紹介されている整備幹部の永田恵2等海尉である。防大を主席で卒業したそうです。女性のかたには頑張ってほしいと思います。

フォークリフト
フォークリフト

航空便所なるものが・・・
航空便所


●その他
 そのほかの画像を少しだけ。ひゅうがから撮った画像です。

ジョン・S・マケイン 速射砲に集まる士官と下士官
ジョンSマケイン

軍港めぐりの船 ひゅうがを見た後これに乗りました
軍港めぐり



 ひゅうがの簡単な紹介は以上です。ここで紹介しなかった画像はNの司令部で掲載するかもしれません。軍港めぐりの画像や昼食のネイビーバーガーの紹介・・・など。更新が遅れた分、少しマニアックなとこも紹介させていただきました(このブログ自体マニアックか・・・)。ご満足いただけたでしょうか。何か感想や要望があればコメント欄までどうぞ。

 今回一般公開されたひゅうがですが、まだ体験公開などの予定はないようですね。今後注目すべきことをあげるとすれば、8月におそらく行われるだろう横須賀サマーフェスタでの一般公開、3年に1度で今年行われる観艦式で観閲部隊旗艦に?などでしょうか。また行きたいですね。今度はもっと詳しく、また、できれば幹部の方にもお話をもっと伺いたいです。パイロットの方が飛行甲板で案内をしていたのですが、引っ張りだこで話ができませんでした。

 以上、現地リポートでした。




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2009-04-18-Sat- 今週の軍事報告4/12~18

▼13日
●11日、バングラデシュ海軍艦艇が初めて中国訪問

▼14日
●ロシア太平洋艦隊の海賊対策部隊がインド洋入り

●ロシア新鋭戦闘機Su-35がLAAD-2009(ブラジルにて)で飛行

▼15日
●インドがミサイル「プリトビ2」の発射実験成功


 今週は手抜き更新になって申し訳ありません。付け足し更新をするかもしれません。




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2009-04-16-Thu- 最近の海賊関連動向 海自P-3C派遣へ

 きょうはやけに軍事ニュースが多かった気がするが、ここ1週間ほどの海賊関連ニュースを見ておきたい。

▼11日
●海自護衛艦が不審船対処
 マルタ船籍の船から無線連絡を受け、LRADなどで不審船に対処した。

 護衛任務を行っているこの艦隊こそまさしく「護衛艦隊」でありますね。護衛艦の艦隊ということで護衛艦隊とも呼べるし、護衛する艦隊であるから護衛艦隊とも呼べる。もっぱら日本で護衛艦隊といえば自衛艦隊隷下の護衛艦で編成されている艦隊のことだが。どうでもよいはなしでした。

●フランス軍が救出作戦
 フランス海軍特殊部隊が乗っ取られたヨットで人質の救出作戦を実行し、人質1人が死亡、4人が救出、海賊側は2人が射殺され、3人が拘束されるという結果に終わった。

▼13日
●米海軍特殊部隊が船長救出
 海賊に人質にとられていた船長を救出すべく米海軍特殊部隊SEALs(シールズ)が攻撃をかけ、海賊を数名射殺し人質を救出した。

●海賊「報復宣言」報道

▼14日
●米国がソマリア沖に艦艇増派検討

▼16日
●フランス海軍が海賊船を捕捉
 フランス海軍の活動は非常に活発です。海上での警戒も増強され、過去には陸上へ追跡したこともありますから。

●韓国海軍部隊、護衛任務開始

●中国海軍部隊、第2陣に交代

●海自P-3C派遣準備へ
 6月頃から2機が活動を開始予定だという。

 たった2機ですか。と言いたいところですが、P-3Cを派遣するというのは案外大変なことなのですね。単に機体とパイロットを派遣すればよいわけではなく、各整備部門から人員を派遣しなくてはならないですし、警備人員なども派遣しなければならないですからね。例えばこれを見てもらうだけでも少しはわかると思います。→厚木基地第3航空隊

 警備には陸自から部隊を派遣することを検討するようですが、私は海自から出せばよいのではと思います。これから自衛隊の活動が増える中で、特に海上自衛隊が海外で活動することが増えるでしょう。いちいち陸自と連携する必要はないのではないでしょうか。海自にも警備部隊はいるわけですし、経験を積む機会にもなるでしょう。統合運用などという声も聞こえそうですが、こんな小規模で統合運用ってねぇ・・・。どうなんでしょうか。陸自もそんなことでいちいち海外派遣されては迷惑ではないですか。そんなことないか・・・。統合運用は必要なときにやればいいのであって、それぞれの自衛隊の役割分担も大事だと思います。

 日本は海外に補給のために使う港があっても、艦艇を常に置いている港がないため、艦隊は交代交代で派遣し、常に展開していなければなりません。米国のように、第5艦隊が近くにあってすぐに艦艇をソマリアにまわすという芸当はできないわけです。ですから、P-3Cの派遣意義は大きいと思います。



 最近はソマリア沖には各国の艦艇が集結していますが、海賊は活動範囲を広げているようです。あの広い海域で長いシーレーンを守るにはかなりの艦艇が必要になります。それに、ソマリアではテロ組織の活動も疑われています。現時点でも船団護衛部隊とインド洋での補給支援活動部隊の活動海域が重なる部分が多くあります。これから更に海賊が増えることになれば、今の派遣規模ではより一層対応しきれなくなるでしょう。


0416 1

0416 2 map

(画像は統合幕僚監部より)

 ですから、これはNの勝手な提案ですが、今後はインド洋派遣艦隊という名前にして護衛艦と補給艦を同じ部隊に統合し、派遣規模を拡大するというのはどうでしょうか。もちろん現時点の2つにわかれた活動でなんら問題はありませんが。

 また、万が一乗っ取られた時に米国やフランスが行ったような強硬手段を最終的にとることができるのでしょうか。極端な話をすればこういう話になりますが、現に外国船舶が保護対象でないとされる海上警備行動下の今回の活動でも一歩間違えれば違法行為になる可能性があったわけです。海外に2隻の護衛艦を派遣するだけもあらゆる事態が想定され、あらゆる危険性が待ち受けているわけです。単に法律で線引きを引くのは簡単ですが、現場はあの手この手で法に違反しない手段をその場でとるわけです。これが現場の苦労というものですね。

 海賊対処のための法案も海自じゃなく海保を派遣すべきだとかなんとかで議論が進みません。海上保安庁自身が現時点では対処不可能、としているわけですからそれ以上何を求めたいのでしょうか。それなら新しい船をつくるべきだとまで言ってますが、海上保安庁に誰が予算を割くのでしょうか。それに巡視船完成まで海賊は待ってくれるのでしょうか。さらに、人員はどこにいるのでしょうか。すぐさま対応しなければいけない事態だというのに、単なる選挙対策か何かで政策の違いを見せるだけのパフォーマンスは必要ありません。海上保安庁はソマリア沖に出なくとも、十分に海賊対策に貢献しています。あまりクローズアップされないだけで、東南アジアも含めて地道な活動を展開しています。海上自衛隊と海上保安庁でも役割分担はできるはずです。それを何も憲法の問題を持ち出して海上保安庁がすべてやるべきだというなら海上保安庁にもっと予算をつけて人員も強化しなければ、要求されるヘビーな活動についていけないでしょう。

 米国のオバマ大統領は先日の米国船乗っ取りを受けて、アフガン同様にソマリア沖やソマリア本土を「主戦場」にする可能性があります。過激派やテロ組織の活動範囲拡大という危機もあり、中東からアフリカを巻き込んだ大規模な「主戦場」となってくかもしれません。日本はあくまでも自国の国益のため、各国と連携して海賊対処に当たっていく必要がありますね。前にも申したと思いますが、韓国と共同作戦が展開できれば非常に効果的であり、両国の国益にかなうものになると思います。

 今後も活動に注目しつつ、派遣されている部隊を応援していきたいと思います。




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2009-04-15-Wed- [シリーズ]ロシア軍の今 3.ロシア軍の現状

 軍改革をメドベージェフ大統領が表明したことで反発が強まるロシア軍であるが、ロシア軍という組織の現状はどのようなものなのか。ロシア軍といえばスペツナズなどの特殊部隊などに注目されがちである。兵力の削減や装備の強化という改革も重要だが、ロシア軍をみると、それよりも軍を構成している軍人に問題があることが見えてきた。

 ロシア軍とこれまで言ってきたが、正式にはロシア連邦軍という。ロシア連邦軍は陸軍、海軍、空軍という軍種と、戦略ロケット軍、宇宙軍、空挺軍という独立兵科から構成されている。初日にお伝えした第76親衛空挺師団はロシア空挺軍という独立兵科に属するものである。そして、ロシア連邦軍は地域を管轄している6つの軍管区によって区分されている。第76親衛空挺師団はレニングラード軍管区のプスコフに駐屯している。

 ロシア連邦軍では徴兵制が採用されている(男性に対してのみ)。対象は18歳から27歳で、期間は2年間である。しかし、多くの抜け道があったり、ロシアでは日常茶飯事に行われている賄賂によって逃れるケースもある。また、職業軍人と比べれば圧倒的に質が低い。そのため、改革計画ではすべての軍人を職業軍人にすることを目指している。

 NHKで先日放送された「揺れる大国 プーチンのロシア」というシリーズ番組の4回のうちの最終回に「プーチンの子どもたち ~復活する“軍事大国”~」がある。この番組を参考に見ていこう。

 この放送で取り上げられたのはカデットという軍の幹部候補生を養成する学校。ベラヤカリトバに位置するマトベイ・プラトフ将軍記念カデットは12歳~17歳を対象とした中高一貫校である。男女300人が全寮制の生活を行っている。2000年に大統領に就任したプーチンは軍の再建に乗り出した。軍事費を8年間で5倍以上に拡大し、兵士の給与も2倍に引き上げた。プーチンは「ロシアの発展には強大なプロの軍が不可欠だ。必要なのは優秀な将校、若い司令官と心から祖国に奉仕する兵士だ」と語った。大統領就任直後に愛国プログラム2001という政令を出し、愛国心を復活はロシア復活の第一歩だとした。この方針の下で建てられたのがカデットである。強いロシアを目指しているロシアはプーチン大統領の下で愛国心を教育の柱として教育を行ってきた。若者たちに愛国心をどうすれば植えつけることができるのか。それをプーチン大統領は歴史の中から見出した。

 ベラヤカリトバのカデットには目標とすべき人物マトベイ・プラトフ将軍の銅像が置かれている。彼ははコサックの英雄であった。帝政ロシア時代に皇帝への絶対的忠誠で知られ、国境で活躍したコサック。プーチン大統領はその勇猛さと国境の脅威を訴え、愛国心に注目し、コサックに光をあてたのである。そのコサックの精神を約100あるカデットのうち国境近くの約30校で教育の柱としている。

 こうした教育が何故なされるのか。グルジアで活躍した第58軍は全て志願兵によって構成されており、ロシアが将来的に目指す軍のモデルとなっている。将来的には100万の兵士全てをこうした志願兵・職業軍人で固めたいとしている。そのため、カデットのような学校をつくり、軍の付属大学などに高い愛国心を持ち、優秀な人材を送り出すことでその計画を着実に実行しているのである。

 しかし、こうした人材の質の向上が行われる中でも軍内部には大きな問題が存在する。いじめやそれによる脱走、上官の暴力による死者などである。こうした暴力、犯罪行為はいまだに続けられており、改革の障壁となるのは間違いない。



 このシリーズの続き、次回は更新日が未定です。近いうちに更新させていただきます。ご了承ください。




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2009-04-14-Tue- [シリーズ]ロシア軍の今 2.ロシア軍近代化計画の背景(後編)

 二日目は初日の後編をお伝えします。対談部分です。



市瀬卓(いちのせ・たく)キャスター:それではスタジオにはロシアの安全保障問題に詳しい防衛省防衛研究所主任研究官の兵頭慎治(ひょうどう・しんじ)さんにお越しいただきました。

市瀬:ロシアが、今これほどまで軍の近代化と強化を進めているその理由はどこにあるのでしょうか。

兵頭:メドベージェフ大統領は3月17日に開かれた軍幹部の拡大会合で、2011年からロシア軍の装備を本格的に近代化していくと表明しています。これには大きく分けて二つの理由があると考えます。一つは国内向けの理由。ロシア軍の大規模な軍改革を進めようとしており、将校の数を半分以下に減らすという大胆なもの。これに対してロシア軍の内部で不満が高まっており、今回ロシアは経済危機にもかかわらず国防予算は削減しないと表明することによってロシア軍内部の不満を緩和させたいという理由です。二つ目は国外向けの理由であり、4月1日に米露首脳会談が行われます。これはオバマ大統領とメドベージェフ大統領の初顔合わせということもあり、昨年のグルジア紛争以降冷えきった米露関係を本格的に立て直す契機になるものです。ロシアとしてはこのタイミングで軍の近代化ということを大きくアピールすることによって、強気の姿勢を示すことにより、アメリカからのより一層の譲歩、あるいは歩み寄りを期待したいということです。

市瀬:一つの外交カードという側面もあるということですね。そこで軍の近代化の中身なんですが、先ほどのリポートの中でも3つほど要点がありました。まず兵力の削減ですがこれはどういう意味があるのでしょうか。

兵頭:ロシア軍というのはソ連時代最盛期に500万人以上の兵力がありまして、ソ連が崩壊してロシアになるときには約260万人くらいありました。現在は113万人まで減らされており、それを2012年までに100万人まで最終的に削減する予定にしています。これは、ソ連からロシアに軍が移行するということで軍削減のプロセスがようやく終わりに近づきつつあるといえると思います。ただ、量を削減するだけではなくて、質的な向上も目指していまして、部分的な契約勤務制、つまりプロの職業軍人を導入するということで現在ロシア軍の大体3分の2がすでに職業軍人によって構成されています。つまり、昨年8月に行われたグルジア紛争はほぼ職業軍人によって実施されたということになります。

市瀬:もう一つが装備の近代化ですか。これはやはり文字通りハードウェアを近代化するということなんですか。

兵頭:こちらの方はまだ遅れておりまして、実は昨年のグルジア紛争では、グルジア側の装備はアメリカの支援などの影響もあり比較的新しく、NATO標準に近づく装備を持っていましたが、ロシア軍はソ連時代につくられた古い兵器を使っていました。ロシアの戦闘機が4機ほど撃墜されたということもあり、グルジア側は無人偵察機を持っていたりして装備面ではかなりグルジアとロシアの差が目立ったということです。ロシアはより一層装備の近代化を行わなければならない、という判断に至ったと思います。現在のロシアの最新兵器の装備率は大体10パーセントくらいしかないのですが、メドベージェフ大統領によると2020年までに大体70パーセントくらいまでに比率を高めたいと考えているということです。

市瀬:もう一点は組織の改編ですけれども、新たな戦争の姿に適応していこうということなのでしょうか。

兵頭:現在のロシア軍はソ連時代につくられた非常に重厚長大な重たい組織となっています。今回のロシア軍の改編では、師団と呼ばれる8000~10000人規模のユニットを廃止して、ワンサイズ小さい旅団規模を中心とした部隊に大きく変更すると予定になっています。これによって、グルジア紛争などの地域紛争やテロ戦争などに、より対応できる即応性と機能性の高い軍隊への再編を目指しています。この再編はソ連ロシア史上最大級の組織改編というふうにいわれています。

市瀬:そうなりますと、今後ロシア軍が目指す方向性はアメリカやNATOと対峙することを念頭におきながら、対テロ作戦や地域紛争などに対応していこうというより幅広いものになっていくということでしょうか。

兵頭:通常戦力においてはNATOやアメリカと比べて圧倒的に劣っていることから、今後は核戦力を重視していくことになると思います。



解説:兵頭慎治氏は、防衛研究所研究部第5研究室主任研究官。専門分野はロシア地域研究(政治、外交、安全保障)。


 このシリーズのきっかけとなった番組、きょうの世界のホームページにはキャスターの紹介なども掲載されていますので、興味のある方はご覧ください。
http://www.nhk.or.jp/kyounosekai/

 防衛省防衛研究所はこちら。
http://www.nids.go.jp/


●追加解説
 4月17日の国防省での年次会合で、ロシアのメドベージェフ大統領は軍改革を2011年から行う方針を示した。

 現在113万人の兵力を100万人までに削減し、装備を刷新するなどの改革を行う。また、上記の兵頭研究官の師団を廃止し、旅団にするという発言にある通り、指揮命令系統の簡略化なども盛り込まれている。簡略化は、現在の軍管区→軍→師団→連隊という形から、軍管区→作戦司令部→旅団という形になる予定である。

 軍改革計画は昨年の時点でセルジュコフ国防大臣が打ち出していたが、メドベージェフ大統領があらためて意思を表明したことで、軍内部の反発を招いている。4月11日にはウラジオストクで軍人が300人ほどの集会が行われた。

 このような改革や反発の裏にはどのようなロシア軍の実情があるのか。明日はそれを見ていきたい。




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2009-04-13-Mon- [シリーズ]ロシア軍の今 1.ロシア軍近代化計画の背景(前編)

 シリーズ初日はBSの番組「きょうの世界」で扱われた内容を文章にしてその前半部分をそのままお伝えします。1回目と2回目のタイトルは、きょうの世界の特集で使われたものを使用しています。

注:以下の文章で斜体部分が書き起こしたものです。途中に解説を入れていきます。後半の対談部分は一部文章を直してあります。また、編集上省いた部分もあります。





ナレーション:戦略核戦力を含めた、軍備の大規模な近代化に取り組む考えを示したロシアのメドベージェフ大統領。イギリスBBCは西側諸国がめったに撮影することのできないロシア軍の基地に入り、近代化を迫られる軍の実態に迫りました。

ナレーション:ロシア軍の内部に今何が起きているのか。その現状をみていきます。


市瀬卓(いちのせ・たく)キャスター:強いロシアの復活を目指しているロシアが、大規模な軍の再編と近代化に乗り出しました。ロシアが今、軍の近代化を進める狙いはどこにあるのかを考えます。

丁野奈都子(ちょうの・なつこ)キャスター:これからご覧いただきますのは、ロシア軍の近代化についてイギリスBBCが制作したリポートです。BBCはロシア国内の二つの基地を取材。一つは、エストニアとの国境近くにあるプスコフ基地。エリート中のエリートと言われる第76空挺部隊が配置されています。そしてもう一つはモスクワ南部のリペツク空軍基地です。ロシア最高レベルのパイロットの育成を行っています。

russia 1



ナレーション(翻訳):ロシア軍が空から作戦を展開するとき、前線に送られるのは栄光の第76空挺部隊。エリート中のエリートです。彼らのモットーは、「勝利あるところに我らあり」。

第76空挺部隊リューティッチ中佐:部隊に所属することを兵士全員が誇りにしています。


russia 2


解説:ここでの第76空挺部隊とは正式にはロシア空挺軍第76親衛空挺師団のこと。


ナレーション:ロシア軍では、徴兵制が採用されていますが、この部隊の兵士の多くは職業軍人。装備も訓練もハイレベルです。ロシアは、西側諸国との戦闘に備え、この部隊のような体制をすべての部隊で整えたいとしています。そのため、ロシア革命以来となる、軍の大改革に着手しています。広範囲に及ぶ軍の改革は静かに進められています。


軍事アナリスト ゴルツ氏:軍が改革を行っているとはだれも言いません。みな、改革と言う言葉を使うことを控えています。しかし、政治家たちは、ロシアの軍隊が無能であり、戦時には使いものにならないと気づいているのです。

russia 3


ナレーション:ロシア軍が勝利したグルジア侵攻。しかしロシアはこの戦いで近代的な装備を持つ軍と初めて戦い、自軍の問題に気づいたのです。戦車の多くは、前線に到着する前に壊れていました。道に迷った部隊もありました。グルジア軍の戦車と違い、ナビゲーションシステムが装備されていないからです。

 軍備の近代化より難しい問題が、異論反論が飛び交う抜本的な軍の構造改革です。実際に訓練を行っている部隊もありますが、書類上でしか存在しない部隊も数多く存在します。装備がなく、部下もいない士官がたくさんいます。数万、数十万の指揮官らが解雇され、部隊も廃止となるでしょう。そのため、多くの人が反対しているのです。

 ロシア軍の構造は今でも九十年前のトロツキーの時代と変わっていません。戦時に予備役を召集する兵士に対し、平時から軍が抱える士官は余っています。士官の数は兵士100人に対し、40人。西側諸国の軍のおよそ2倍です。

 ロシア軍はすべての兵士を職業軍人とする一方、3分の2の士官を削減する予定です。これにより20万人の職が失われるとみられています。

 政府の軍再編計画に怒りを示す政治家や、軍の上級幹部も出ています。公の場での発言を控えている軍最高幹部のマカロフ将軍に質問することができました。

記者:すべての兵士を職業軍人にできるのですか。
マカロフ参謀総長:徴兵制や軍の組織などあらゆる面で検討を続けている。新たな軍の編成を行うには全てを考慮しなければならない。

ナレーション:目的がはっきりしない改革は意味がありません。しかしロシアでは今のところこの問題についての話し合いは行われていません。この改革によって注目すべき結果が生まれるとも言われています。

 士官の削減は大量動員という戦法を捨てることを意味します。欧米諸国に対し、通常兵器による戦争を行わないということです。ナポレオンの時代から続くロシアの戦術が転換されることになります。

ゴルツ氏:大量動員という戦法を完全に否定するということはロシアの主導者がNATOを仮想敵国とみなしていないということです。これは驚くべき変化です。ロシアの指導部は現実に気がついたのだと思います。本気でNATO軍に軍事力で対抗しようとしたら、ロシアを疲弊させるだけだということに気がついたのでしょう。

ナレーション:通常兵力で優位に立つ代わりに、ロシアは入念な外交を展開しようとしています。新たな脅威と立ち向かうため、装備の刷新も進めています。

 モスクワ南部にあるリペツク空軍基地です。

russia 4


 講義を受けているのはロシアのトップガン。最新鋭戦闘機の能力の確認を行います。

 これまでは欧米諸国を仮想敵に長距離飛行ができる戦闘機に予算が費やされましたが、今では南部の国境などが戦場になると仮定し、短距離飛行を念頭に戦闘機の開発、配備が行われています。これらの戦闘機は中央アジアのイスラム武装勢力との戦いなどで必要とされるでしょう。こうした戦いでロシアの存在感を高めることが狙いです。

ココシン元副国防相:ロシア指導部はもはやアメリカが唯一の超大国ではないということを学んだのです。たとえばフランス軍はアフリカで活動しています。国外での活動がフランスに許されるなら、ロシアも許されるべきでしょう。我々は旧ソビエト地域などに戦略的利権を持っています。ロシアは必要であればその利権を守るために軍事力を行使します。欧米の大国が行ってきたようにね。


丁野:今のBBCのリポートからはロシア軍の進める近代化について三つのポイントが見えてきます。まず一つ目が組織のスリム化のための兵力の削減。二つ目は老朽化した装備の近代化。そして三つ目が大規模な戦闘ではなく、地域紛争を想定した組織の改編です。

(画像は全てきょうの世界より)

 初日はここまでです。後編はまた明日お伝えします。




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2009-04-12-Sun- ひゅうが一般公開記事更新について

 ひゅうがの一般公開に関して多くの方が興味を持っておられるようで、今日のアクセス数が急増しました。他のブロガーも記事を更新しているようですが、Nは今すぐにお伝えすることができません。今週は以前から用意していたシリーズがあるので、それが終わるころには記事をまとめることができると思います。更新が遅れる代わりに、他のブログにはないような情報もできるだけあげたいと思います。数日に分けてお伝えしたいと思いますので、またごらんいただけると幸いです。今後司令部にも画像庫を設ける予定です。

 本当に申し訳ありません。ブログに来ていただいて感謝しています。これからもどうぞよろしくお願いします。Nでした。

hyuga pre





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2009-04-12-Sun- [シリーズ]ロシア軍の今 0.はじめに

 明日から、シリーズ第2弾をさせていただきます。今回のテーマは「ロシア軍の今」です。

 最近の軍事ニュースを見てロシア関係のニュースがちらほら出てきたなあ、と感じた方もいらっしゃたかもしれません。今回のシリーズのきっかけはBSの番組です。そこから、簡単にロシア軍の今をまとめてみました。シリーズ最初の1と2ではこのシリーズのきっかけとなった番組の内容を文章でまとめ、少しだけ解説を入れながらお伝えします。

 それではよろしくお願いいたします。




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2009-04-11-Sat- ひゅうが一般公開に行ってきました

 横須賀に配備されている新型護衛艦「ひゅうが」の一般公開に参加しました。近いうちに一日の様子をお伝えします。告知でした。




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2009-04-11-Sat- 今週の軍事報告4/5~11

 今週の軍事報告では、Nの負担軽減のため、詳しい情報は掲載しませんので、気になる見出しがありましたら自分で検索なさるか、コメントをお寄せください。Nが確認した範囲でお伝えしていきます。

▼5日
●北朝鮮、ロケット発射

▼6日
●湛江市にロシア艦艇訪れる
 中国の湛江市にソマリアで任務を終えたロシア海軍艦艇が訪問した。

●米ゲーツ国防長官が国防予算見直しを発表

▼7日
●バルト海でNATO訓練始まる

●ロシアがイスラエルから無人機購入へ ロシア経済紙報道

●グルジア沿岸警備隊がロシア貨物船を抑留
 グルジア沿岸警備隊は14人のロシア人を拘束したという。

▼8日
●アブハジア、グルジアとの国境の警備強化

●ロシア、新型防空システムをベラルーシへ

▼9日
●中国海軍ソマリア沖海賊対策艦 海賊船の襲撃阻止

▼10日
●ロシアがミサイル発射実験
 ロシアは大陸間弾道弾トーポリ(Topol)の発射実験を行った。

▼11日
●平日ゴルフの韓国軍軍人処罰




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2009-04-09-Thu- 早期警戒衛星の保有検討 宇宙利用拡大へ向けて

 9日の衆院安全保障委員会で、浜田防衛相は民主党の山口壮氏への答弁において早期警戒衛星の保有を考えていくと述べた。先日まとめられた宇宙基本計画の骨子の中に衛星について触れられているように、これを元に5月に策定される宇宙基本計画の中に盛り込まれる可能性がある。

 この浜田防衛大臣の発言は、北朝鮮のミサイルの脅威に対抗するためのもので、1998年に北朝鮮がテポドン1号を発射したときに政府が情報収集衛星導入を決めたように、今回もロケット発射が新たな衛星導入のきっかけになりそうである。

 一方、政府は今年度から新しい情報収集衛星の研究・開発に着手するようである。これは世界最高水準の衛星になるようで、2012年度に実証衛星、2014年度にこの光学衛星を打ち上げる予定である。現在日本では、情報収集衛星4機体制で運用されている。この内訳は、光学センサーで画像を得る光学衛星と合成開口レーダーで画像を得るレーダー衛星の2機が1組となり、2組で4機となっている。異常や耐用年数に達すればそれに応じて順次打ち上げを行っていく。その過程で少しずつ能力が上げられることもある。5号機は米軍の偵察衛星に次ぐ能力を持つものを目指し開発される予定である。

 ここで問題です。これらの情報収集衛星を運用しているのはどこでしょうか。

 正解はJAXA・・・ではなく、内閣官房内閣情報調査室におかれている内閣衛星情報センターである。JAXAは運用を行っておらず、打ち上げを行っている。内閣衛星情報センターについては昨年11月10日の記事で少しだけ触れさせていただいたが、内容は省略する。では、現在の内閣衛星情報センターの所長が誰かはご存知だろうか。正解は椋木功(むくのき・いさお)氏である。椋木氏は元自衛官で、第4代防衛省情報本部長を陸将で務めた後、退官し、第3代内閣衛星情報センター所長になった。内閣衛星情報センター所長で元自衛官であったのは椋木氏だけではなく全員がそうである。初代内閣衛星情報センター所長であった國見昌宏氏は最終階級陸将で、しかも情報本部長のあとで退官し所長となっている。第2代の小田邦博氏は航空総隊司令官を努めた。

 この内閣衛星情報センター所長という役職は軍事的な重点をおかれているものなのであろうか。これから宇宙に関して自衛隊が深く関わっていく中で、組織の改編が必要ではないだろうか。今月3日の記事で述べたように今の宇宙利用は意味のない区別が組織レベルでなされ、今後障壁になる可能性がある。ここで新たに主張をしたい。

 新たな主張は航空自衛隊に「宇宙部隊」の新設、もしくは防衛省に宇宙担当の統合部隊の設置を求めるものである。これには2つの理由がある。1つ目に内閣衛星情報センターが運用している情報収集衛星を自衛隊で運用し、防衛利用の効率化を図るため。2つ目は今後の宇宙の防衛利用に準備する形で、あらかじめ部隊を設けて新しい計画にも対応を行うことができるようにするため。JAXAと防衛省の役割を明確にし、JAXAは開発を担い、運用や有人飛行などの負担を自衛隊が担うようにする。全体的に予算も増やさなければならないだろう。ただしあせらず、日本独自でじっくりとやっていくのが一番よい。

 勉強不足で急いで書いたような感があるが、指摘や意見などがあればどうぞお寄せください。本当に勉強になりますので。




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2009-04-08-Wed- 今日の報告20090408

●空自特別航空輸送隊 ベテラン機長が勇退

空自:政府専用機パイロット16年、特別航空輸送隊ベテラン機長が勇退 /北海道

(毎日新聞)

 塙哲夫1佐は特別航空輸送隊第701飛行隊長であったが、15日付で特別航空輸送隊付となる。


●イランへ部品輸出を図った男が訴追される
 6日に米司法省が戦闘機などの部品をイランに密輸しようとしたイラン人男性を訴追したと発表した。F-5やF-14やコブラなど西側との関係悪化で入手困難である装備品に対する部品である。イランでは、米国がF-14を引退させた後は、他国の支援や密輸などでいまだに少数を運用しているようである。こういう男が頼りなのだろうか。


●北朝鮮ロケット発射映像公開



 1段目と2段目の間から何かが噴出している。


 
 自民党の中で核についての議論がされているようですが、それより変えなければならないことが多々あるのではないですか。すぐ核を持とうとして、日本まで核を持ったらいままで日本が訴えてきたことが全て無駄になってしまわないでしょうか。根本的な議論と具体的な案をしっかり示してほしいと思います。




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2009-04-07-Tue- 北朝鮮ロケット発射 時事通信の誤報 後半:新聞は読みますか?

 6日に北朝鮮がテポドン2号を打ち上げ、アメリカは人工衛星の打ち上げに失敗したとの見方を示している。そんな中、発射日の夜時事通信が19時1分に次の記事を更新した。

北の人工衛星、軌道に=「追跡システムで特定」とロシア

 インタファクス通信によると、ロシア外務省のネステレンコ情報局長は5日、「北朝鮮が人工衛星を打ち上げた」と確認した上で、「軌道に乗せた」と語った。さらにロシアの航空宇宙追跡システムを通じ、「衛星の軌道データが特定されている」と明らかにした。
 ネステレンコ局長は「われわれは、あらゆる関係国に対し、抑制された判断や行動を示すよう促す」と求めた。(2009/04/05-19:01)


 ところが、その後内容が書き換えられ、次のようになっている。

北が「人工衛星打ち上げ」=「追跡システムで特定中」とロシア

 【モスクワ5日時事】ロシア外務省のネステレンコ情報局長は5日、「北朝鮮が人工衛星を軌道に打ち上げた」と述べた。さらにロシアの航空宇宙追跡システムを通じ、「現在、衛星の軌道データを特定中だ」と明らかにした。
 ネステレンコ局長は「あらゆる関係国に対し、打ち上げの客観的性格に基づき、抑制された判断や行動を示すよう促す」と述べ、日米などに冷静な対応を呼び掛けた。(2009/04/05-19:53)



 Nは5日に記事を更新したが、その時に前者の記事を確認したため内容を誤ることになりそうだったが、その後時事通信の記事が更新されていることを知り、内容を訂正した。どの部分が違うかと言うと、情報局長が「軌道に乗せた」と語ったという部分である。確認したところこのような発言はしておらず、時事通信の勘違いだったことが明らかになっている。この発言を見れば、ロシアが、北朝鮮が衛星を軌道に乗せたことを確認したということになり、大きく内容が異なってくる。この指摘は、軍事を扱っているブログ「週刊オブイェクト」さんでされている。週刊オブイェクトはNなどは比にならないような軍事知識をもってしてJSF氏が運営しているブログである。そちらのほうが詳しく、的確に掲載されているので是非ごらんいただきたい。

 ちなみに、前者の文面をGoogleで検索し、記事のキャッシュを見ると、前者の記事がまだ残っているのでこの誤報を見たければどうぞ。

 また、時事通信は通信社であるから、各報道機関にこの情報が配信され、他のメディアもこの情報を流し、そのままである。この誤報に関係なく、データを特定中としていたロシアは衛星を軌道に乗せられなかったとしており、アメリカの見解と一致している。

 時事通信の記事書き換えは今に始まったことではない。ネットに記事が掲載された後、度々書き換えが起こることが多々ある。特に、最近Nが見た中でひどいと思ったのは、先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議の際に日本政府がIMFに最大1000億ドルを拠出するという記事でのことである。次の記事は現在検索してでてくる記事である。

IMF拠出で署名=過去最大の1000億ドル-中川財務相

 【ローマ13日時事】中川昭一財務・金融相と国際通貨基金(IMF)のストロスカーン専務理事は13日、日本政府がIMFに最大1000億ドル(約9兆円)を拠出する取り決めに正式に署名した。IMFの資金基盤を強化し、金融危機を受けた加盟国への資金提供などを後押しする。
 日本政府は昨年11月の主要20カ国・地域(G20)金融サミット(首脳会合)で、麻生太郎首相が提案の目玉として表明していた。(2009/02/14-10:03)



 ところが、当初は次のような記事であった。

IMF拠出で署名=過去最大の1000億ドル-中川財務相

 【ローマ13日時事】中川昭一財務・金融相と国際通貨基金(IMF)のストロスカーン専務理事は13日、日本政府がIMFに最大1000億ドル(約9兆円)を拠出する取り決めに正式に署名した。IMFの資金基盤を強化し、金融危機を受けた加盟国への資金提供などを後押しする。
 日本政府は昨年11月の主要20カ国・地域(G20)金融サミット(首脳会合)で、麻生太郎首相が提案の目玉として表明していた。 
 加盟国支援が必要になった場合、要請を受けた日本が約100兆円の外貨準備からIMFに貸し付ける形で拠出する。加盟国による資金提供としては過去最大で、ストロスカーン専務理事は「人類の歴史上、最大の貢献だ」と謝意を表明。財務相は「有効活用を期待したい」と述べた。(了)
(2009/02/14-10:03)



 後半の部分が丸々削除されているのである。日本の大きな功績であるはずの内容がなぜか消されている。何故消さなければならなかったのか。それに、大きな功績であるこの内容の報道は大きく報道されず、中川前財務大臣のあの会見を繰り返し流すことでほとんど打ち消されてしまっている。因みに、読売新聞を確認してみたが、小さな枠の記事で、数行書かれているだけであった。

 軍事とはあまり関係なくなってしまったが、そんな中、6日のFC2トラックバックテーマ第709回「新聞は読みますか?」というのをたまたま目にした。

こんにちは!トラックバック担当本田です!
今日のテーマは「新聞は読みますか?」です。

今日は4月6日、新聞を読む4(よ)6(む)日だそうです。
新聞を読みなさい!と言われ続けた本田ですが、
結局新聞を読む習慣は中々つきませんでした^-^;
そうしている内に大人になった現在は、
インターネットのニュースサイトなどで情報収集をしています。
しかし、興味のあるページしか開かないので
...
第709回「新聞は読みますか?」




 Nもネットでニュースが簡単に見られるようになってから、新聞よりもネットのほうが便利であると思っていた。しかし、ネットでは得られない情報が新聞に載っているのである。それはつまりどういうことか。新聞はネットのように記事が綺麗に並んであるわけでなく、大きな記事から小さな記事まで様々である。つまり、その記事の大きさからその新聞が強調したいことだけではなく、様々な新聞を確認することでメディアが伝えたいニュースとあまり伝えたくないニュースがわかるということである。

 一面に載るようなことは誰でも知っていることであるから、みるほうはあまり重点を置く必要はない。3面や4面の小さな記事に注目して、ネットで調べてみると案外重要なことであったりすることもある。日本の貢献をどういうわけか小さく報道したりということがわかったりする。何故こんなことが起こるのかわからないが、新聞ではネットではわからないメディアの「特性」がわかったりもする。中川前財務大臣のあの会見も、当初産経新聞にしか写真掲載許可が下りず、他の新聞も小さく報道している。しかし、テレビであの映像が流れて以来、新聞でも大きく問題としてとりあげた。

 とにかく、ネットでの情報収集も便利だが、本質を知りたければ新聞も読んだほうがよいのでは?という素人の戯言でした。




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2009-04-05-Sun- 北朝鮮「銀河2号」打ち上げ実施

 北朝鮮が今日ロケットを発射した。発射時には速報が流れ、一部の地方自治体によっては武力攻撃事態時に流されるサイレンが鳴ったところもあったようである。また、ロケットに異常はなかったようで迎撃がなされることはなかった。

 「人工衛星」打ち上げは成功だったのか、失敗だったのか。

 北米航空宇宙防衛司令部(NORAD ノーラッド)は軌道に何も乗らなかったとしている。1段目は日本海に、2段目と共に搭載物はそのまま太平洋に落ちたと言う。ロシア外務省ネステレンコ情報局長は「北朝鮮は地球周回軌道に向けて人工衛星を打ち上げた」と述べた。また、軌道データを特定中だとも述べた。韓国国防部長官は、いかなる物体も軌道に進入できなかった、という見解を示した。

 ちなみに、今回の発射事案における海上自衛隊の活動を挙げておく。

・イージス護衛艦「こんごう」「ちょうかい」が日本海に展開
・イージス護衛艦「きりしま」が太平洋に展開
・ミサイル艇2隻
・EP-3(情報収集)
・P-3C(海面変色を発見)
など
 このほかにもヘリなどが活動を行っているかもしれないが、確認できていない。

 また、新しい情報では、政府がロケットの落下物を回収することを検討しているという。今後、人工衛星の打ち上げだったのかどうか、成功したのかどうかなどの判断を専門家にしてもらい、我々素人は結果を待つことにしよう。




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2009-04-04-Sat- 今日の報告20090404

●4日、北朝鮮人工衛星発射せず
 予告初日には発射が見送られた。天候の問題か、それともたった1発の効果を最大限生かすための様子見か。様子見なら初日にして成功している。それは日本における誤報騒ぎである。自衛隊や政府は徹底的に叩かれている。海外でも日本の誤報が報道され、世界が騙された形になった。

 これは、航空自衛隊航空総隊司令部の誤った報告によって、政府が誤報を発したからである。原因は、今回のロケット発射騒ぎで稼動されていたFPS-5レーダー。これは本来解体予定のもので今回特別に実戦モードで運用されることになった。このレーダーは探知距離が長いものの、正確さに欠ける。このレーダーだけの情報と米国の早期警戒衛星が探知したという誤った情報も加わり、誤報になった。

 北朝鮮にしてみれば、発射してもいないのに勝手にありもしない情報に踊らされている日本人を見て笑っていることだろう。本当に残念だ。今回は国民に発射情報を伝えるという政府の決定だが、正確な情報が得られるまで安易に流すものではない。今回の情報の伝達は短い時間に確実に行う必要がある。自衛隊の質が問われている。次の成功に期待している。

●海賊対処護衛艦、不審船を追い払う
 ソマリア沖で外国船舶救助 護衛艦、“脱法行為”の疑いも←共同ニュース

 3月14日の記事、海賊対処護衛艦出港 護衛艦は海賊対処仕様で一部触れた「長距離音響発生装置(LRAD)」が実際に使用された。外国船を救った形になったために脱法行為だと報道されているが、防衛省は船員法を適用したとした。

●ジブチと地位協定締結 P-3C派遣も 海賊対処
 3日、政府は海賊対処のためにP-3C哨戒機をジブチに派遣することを決めた。そして、地位協定も締結された。協定は刑事訴追や民事上の賠償請求などの免除を含む特権を定めている。

 P-3Cの派遣は何も航空機だけを派遣するのではなく、整備に関係する部隊も派遣されることを忘れてはならない。海自から警備要員も派遣されるのだろうか。詳しくはわからないが今後も注視していきたい。




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2009-04-04-Sat- 今週の軍事報告3/29~4/4

 今週の軍事報告では1週間の世界の軍事情報をお伝えいたします。

▼3月29日
●ロシア海軍、海賊対策任務のためソマリア派遣(ウラジオストック)
 ロシア太平洋艦隊のソマリア派遣部隊がウラジオストック港を出港した。太平洋艦隊としては第2陣となる。すでに駆逐艦「アドミラル・ヴィノグラドフ」によって率いられており、1月から活動している部隊と今回の部隊が交代する予定であり、今回は駆逐艦「アドミラル・パンテレーエフ」が派遣される。アドミラル・パンテレーエフはウダロイ級駆逐艦の一つであり、対艦ミサイルや30ミリ・100ミリ砲、Ka-27ヘリコプターを装備する。
 

●B-2 Spiritの活動(18日)





▼31日
●ロシア、火星飛行へ向けて実験開始
 ロシア科学アカデミー生物医学問題研究所が男性6人を模擬宇宙船に隔離し、精神状態や身体への影響を調べる実験を開始した。期間は105日間で火星への往復を想定した520日間の実験も年末に開始される予定だという。

▼4月1日
●統合幕僚監部発表
 1日6時ごろに海上自衛隊第13護衛隊(佐世保)所属「あさゆき」が、上対馬の南東約45kmの海域を南西進するロシア艦艇を発見したと統合幕僚監部が発表した。内容は以下の通り。

・ウダロイⅠ級ミサイル駆逐艦
・ドゥブナ級補給艦
・アルタイ改級補給艦
・ソルム級航洋曳船

 以上の内容から、29日にウラジオストックから出港したソマリア沖の海賊対策に向かった艦隊であると思われる。

●中国海軍、海上閲兵式のため艦艇出港
 3週間後の23日に行われる海上閲兵式の準備のために艦艇が次々と出港した。中国海軍は海上閲兵式に30の国や地域に招待状を送った。

▼2日
●中国海軍、ソマリア沖海賊対処第2陣派遣
 中国海軍が昨年末の第1陣の任務を引き継ぐ部隊を派遣した。派遣内容は駆逐艦「深セン」やフリゲート「黄山」などで総勢800人ほど。

●中国女性初の戦闘機操縦士
 中国人民解放軍空軍で初めての女性戦闘機パイロットが誕生した。今回パイロットになったのは合計16人。

▼3日
●海賊対策韓国海軍部隊、バーレーンに到着

▼4日
●フルンゼ海軍学校で火事
 ロシアのフルンゼ海軍高等学校で火災が発生した。この学校はロシアの上位軍事アカデミーの1つで、1701年に設立されており、世界の中で最も古い士官学校の1つである。




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2009-04-03-Fri- 北朝鮮人工衛星発射を前に 日本の宇宙開発は

 北朝鮮の人工衛星打ち上げ予告を前にして、連日「お祭り騒ぎ」だが、なぜこうして今になって不安、不安となるのだろうか。この問題は今に始まったことではないだろうに。常にミサイルの脅威にはさらされているのに緊張感が普段から足りない。それに、北朝鮮が「予告」をしてくれたお陰で、色々対応を準備する時間があったが、こうした準備態勢がない状態で本当に突然ミサイルが日本に向けて撃ち込まれたら民間人に対して効果的な対策が取れずに終わることが露呈してしまっている。

 また、時事通信の報道では、北朝鮮関係筋が「飛翔体」を制御できなかった場合、自爆させると語ったと報じられている。また、韓国ではロケット対応部隊が非常勤体制に移行したという。

 北朝鮮ロケットの件は十分テレビで騒いでいるからもういいだろう。それより、今日、宇宙開発戦略本部は「宇宙基本計画」の骨子をまとめた。この中では安全保障の強化を目的に衛星を打ち上げることなどが盛り込まれている。現在、日本で中心的に宇宙開発を行っている組織は宇宙航空研究開発機構(JAXA)である。ロケットの打ち上げはJAXAが行い、宇宙飛行士もここから出ている。

 2008年に宇宙基本法が成立する以前は日本の宇宙開発は非軍事とされていた。現在では非攻撃となり緩和されているが、まだまだ必要なものがそろっていないのが現状だ。世界の宇宙開発はどのように行われているのか。簡単な結論を言うと、軍と密接な関係を持っているということが言えるだろう。また、宇宙開発の大きな目的は軍事目的であるということが言える。今回の北朝鮮の件を見ても、先端部に弾頭が搭載されているのか、衛星が搭載されているのかで大きな違いがあるにせよ、大きな枠としては弾道ミサイルの実験の一環だとの見方が強い。また、米国、ロシア、中国などを取ってみても軍が関係しない宇宙開発などありえない。以前は宇宙飛行士もほとんどが軍人であった。過酷な条件下で過酷な任務を行うには軍のパイロットなどが適しているからである。

 つまり、非軍事とか平和利用だとかという区別がナンセンスなのである。そして、その区別は言葉だけではなく、日本の場合はJAXAと防衛省という組織において「平和」と「軍事」というわかりやすい区別が行われている。これは意味がなく、統合して計画を行うべきである。予算の少ないJAXA単独で宇宙開発を行うには限界がある。日本の国防目的として、衛星から始まって有人宇宙飛行や月の探査など防衛予算を増やし、そして効率的な実験、開発を行うことができるように思い切った政策を今ここで採るべきである。これが後にいい影響を残すことに間違いはないだろう。最近は軍人から宇宙飛行士になるのではない人も増えたが、長期宇宙滞在や月の探査などを行うには体力、精神力などが優れている人間を使う必要も、科学者などと同様にあるのではないだろうか。防衛省と業務を統合し、宇宙計画を進めるべきである。

 北朝鮮のロケット発射を受けて、今後、今回の発射は人工衛星であれば安保理決議違反にはならないという中国やロシアの意見に同調する流れが生まれ、日本が孤立する可能性があるという指摘がなされている。ちなみに、1998年の北朝鮮によるテポドン発射の際には、世界各国が「人工衛星」の実験失敗と見る中で、日本は唯一弾道ミサイル発射実験としている。また、今回人工衛星の可能性が高いといわれている中で、それを制御するための通信施設が確認されていないとされており、人工衛星であるというのも怪しいものである。

 今回の一件で思うのは宇宙開発もMD体制も日本独自で行うべきだということである。北朝鮮の軍事的な動きがあると、日本の防衛体制が少しずつ整備されていく。例えば、1998年の発射後は情報収集衛星の導入を日本政府が決めている。迎撃も辞さないとの強気な構えを見せた姿勢をこのまま崩さず、依存からの脱却への道を少しずつ開いてほしいと思う。




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2009-04-02-Thu- ブログの名前変更!

 桜の満開を迎える今日、Nのコラム&日記からNの軍事ブログに名称を変更しました。理由は年度が代わるからということや、アクセス数を伸ばそうというものからです。今後もよろしくお願いします。コメントも是非どうぞ。




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