Nの軍事ブログ

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2008-12-31-Wed- 終わらない2008年

 2008年もあとわずか。年末も関係なく危機が新たに発生し、それだけでなく各地で戦が続けられている。人の慣れは怖いもので、毎日テロや戦闘で人が死んでいるにもかかわらず、それが毎日続くと痛みを感じなくなってしまう。アフガニスタンやイラクでも戦闘が長期化する中で、世界中がその非日常の現実を日常として受け止めてしまっている。もしかしたらそれが日常で平和な状態が非日常なのだろうか。日本人にとっては前者が日常だろうが、中東ではそうではないだろう。

 共同通信の最新情報では、フランスが提示した48時間停戦案をイスラエルが拒否したということだ。EUは仲介の動きも見せており、各国とも安泰に新年を迎えられる状況ではない。中東では刻々と戦火の拡大の危機が迫っている。中東各国も新年おめでとうどころではなく、難しい対応を迫られている。

 2008年最後に言いたいのは、新年を戦場で迎える兵士の皆さんに対してである。毎日呑気に過ごすわけにはいかないであろうが、せめて Happy New Year と言えるようにすごしてほしいと思っている。インド洋で活動中の海上自衛隊護衛艦、補給艦で活動を行っている自衛官の皆さんにもこれからも通常通り活動して欲しいと思う。私ができるのはこの程度のことで申し訳ないが、これからも少しでも軍事情報を伝えていきたいと思う。

 来年は米国新大統領就任、日本では総選挙と盛りだくさんである。そして、2009年は2008年に起こったことへの対応に追われる年になるであろう。それゆえに混乱を大きく生じるかもしれない。とにかくもう人が死ぬのは避けて欲しいと願うだけである。また最後に、戦地にいる兵士の皆さんが無事に祖国へ帰れるように祈っている。




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2008-12-30-Tue- 年末年始なんか関係ない 2009年は

 イスラエル国防軍(IDF)によるガザ地区への攻撃が4日目になった。半年間の停戦終了後、ハマスによるロケット弾攻撃に対抗する形で、IDFによる空爆が行われた。ただ、この空爆は半年前から周到に計画されていたものであり、4日目現在では地上戦の準備もほぼ整えられている状況である。死者も大量に出ており、各国のイスラエル大使館前で抗議が行われた。とても新年を祝える状況ではない。

 パキスタンとインドの国境では緊迫した状況が続いている。パキスタンは国境付近の兵力を増強し、を移動させ、ムンバイのテロ以来危機が高まっている。なんとしても戦火がおきることは避けなければならない。両国間での「熱戦」は思惑通り行われてはならない。インドは、ムンバイ同時攻撃の首謀組織をパキスタンの「ラシュカレトイバ」と断定しているが、パキスタン側の対応は強化されていない。

 麻生総理大臣は、ソマリア沖への海上自衛隊艦艇派遣の意向を示した。海上警備行動を発令して一刻も早く対応したいということである。前回述べたが、これには多く問題を含んでおり、防衛省内では反対意見も多く出ている。イラクからは空自の支援部隊が撤退し、イラクでの自衛隊の活動は終結した。自衛隊の任務も、これから新たな局面をむかえることになる。

 安全保障に年末も年始も関係ない。浮かれている余裕は一時もないのである。世界での戦争も同じでいつ起きてもおかしくはない。その一方で多くの民間人が死に、苦しみ、泣いている。2009年を迎えずして、年の瀬にもかかわらず死んでいった人は多い。日本に住む多くの人は、これらのニュースを茶の間で温まりながら「いやだねぇ、戦争なんて」「大変だねぇ」「どうして戦争なんて起きるのかしら」なんて言って呑気に過ごしていることだろう。その生活が永遠に続けばそれが一番いい。しかし、日本でも身近なところから、食品汚染、無差別殺人、新型インフルエンザの脅威などを考えるとそう簡単に2009年を迎えることはできない。2009年は大荒れになることが予想される。新たな局面を国民が一体となって乗り切って行く必要がある。また、戦争は絶対になくなることはないということをいまこそ日本人は理解する必要がある。平和を望まない一般国民はいない。しかし、巻き込まれるのは常に市民である。備えをして巻き込まれるのか、備えせずして巻き込まれるのか。2009年は選挙の年である。これを選択するのはまさに国民、あなたである。




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2008-12-25-Thu- 海賊対策拡充の方向 期待と不安

●海賊対策本格調整

 海上自衛隊艦艇をソマリア沖に展開し、日本船籍の船を護衛するという任務の実施が現実味を帯びてきた。Nが、かなり前から主張してきたことが一応現実になるのだが、完全ではない。

 今回は、国会のねじれから海賊対策法案を通すことが難しいため、法案成立までの措置として、船舶に危険が及んだ場合、海上警備行動を発令してある程度の護衛を行うというものである。しかし、特別措置での派遣であるために問題が多々ある。そもそも、ソマリア沖で海賊対策に当たっている部隊は多くあるが、指揮が一元化されておらず手順も統一されていない。そのため連携が取れていないのはもちろんのこと、拘束した海賊をどこで裁判にかけるかといった問題が残っている。まして日本のことであるから、国際ルールをめぐっておおもめになるに違いない。

●不完全な作戦遂行

 現場の部隊の安全や円滑な作戦遂行のために政治ができる限りのことをすべきなのは言うまでもない。しかし、日本においては今までずっとそうではなく、部隊を危険にさらすような決定を下してきた。今回の派遣はどうだろうか。

 先日、安全保障理事会で海賊が逃走した場合に備えて陸空での作戦遂行が認められた。これによって対海賊作戦がより有機的に実施することができるようになったが、「様々な制約」がある日本でそれを有効活用することが果たしてできるだろうか。海上での船舶護衛だけでは限界がある。次のような作戦遂行を提案したい。

 現在行われている補給支援活動とともに、船舶護衛を実施する。それと平行してP-3C哨戒機による哨戒活動も実施する。護衛に使う艦船には特別警備隊も乗せて臨検活動を円滑に実施できるようにする。もちろん立入検査隊の訓練も各護衛艦ごとに強化する。万が一陸上での攻撃を余儀なくされた場合は特別警備隊およびヘリによる陸上攻撃作戦を実施する。特別警備隊にはあらかじめその他の海軍特殊部隊と同様に陸上での戦闘活動も付与しておき、訓練を実施することで兵力の有効活用を行う。

 以上はあくまでも将来的な一例だが、陸海空からの作戦実施が必要である。大兵力を投入できないのであれば少ない兵力で効果的に作戦を実施することが必要になる。海上自衛隊には単独で十分にそれを行うだけの能力を擁している。防衛費削減の傾向がある中で、これらの活動を重視してこれ以上の削減は避けるべきである。公務員削減という波を同じ「公務員」である自衛隊員にまで向けるというのは納得できない。「公務員」というくくりも変える必要があるのではないか。とにかく、話はそれたが自衛隊は「軍隊」ではなく、自衛官は「軍人」ではない。それは絶対に混同すべきではない。それゆえに幅広く効果的な活動ができずに現場部隊員を危険にさらすことは間違いない。この状況は変えるべきである。

 国内法の整備ができていない日本では、海賊の取り締まりができない。法律のバックアップがあってこそ、活動が可能になる。艦に警察権を付与し、自分の国で裁くことが海賊対策には必要になる。こうしたことも盛り込んでより確実な活動にしてほしい。

●特別警備隊の派遣を

 海賊対策には船舶への移乗、検査が必要になることもある。そこで、まさにそのために創設されたと言ってもいい「特別警備隊」の派遣を強く求めたい。特別警備隊はいまだ実戦には投入されていないとされており、ソマリア沖に派遣されれば初めて実戦を経験することになるかもしれない。訓練では経験できないことも実戦を通して経験することで、特別警備隊の存在意義があがるだろう。また、立入検査隊の更なる訓練と実際の活動も非常に有意義なものになるであろう。

●イエメンへ船舶供与

 ODAの無償資金協力の枠組みで、イエメンに巡視船、巡視艇を供与する方向で調整が進んでいるという。武器輸出3原則で禁止されている武器にあたるのは間違いないが、政府は「例外措置」として行う方針だという。さらに、イエメンに軍用への転用をしないことを約束させるというが、軍用とはどのような定義を言うのか。武器輸出3原則はなくすべきだと思っている。こういったわけのわからないものがあるから日本の安全保障はおかしくなるのである。軍備をするか、全てをなくすかのどちらかにすべきだと思っている。中途半端というのが一番たちが悪い。最悪な状況を想定して法律、装備を整備して行くのが安全保障であろう。大兵力を擁していてもそれを使えないというのであれば価値はない。

 巡視船供与はインドネシアの前例もあるが、こうした活動は積極的に行うべきである。日本の船が特定地域の安定に繋がることならばすべきではないのか。反対する理由がわからない。

●中国がソマリア沖に部隊派遣

 中国はソマリアでの海賊対策のために艦隊を派遣することを決定した。今月26日に出港する。内容は駆逐艦2隻、補給艦1隻、ヘリ2機、特殊部隊だという。日本は中国に先を越された形である。中国は今後おそらく積極的に海外派遣を実施してくることになるのではないかと思う。中国は空母の建造も「真剣に検討」するとしており、外洋海軍を目指す中国人民解放軍海軍はこれからも更に軍備を増強し、プレゼンスを増してくることであろう。

●契機はいつでもある

 ソマリア沖への海自艦隊派遣が実現すれば、新たな1ページを自衛隊の歴史に刻むことになる。しかし、不安が多く残されたままの派遣となることは間違いない。それは全て「憲法第9条」があるからであり、そのせいで人々が危険にさらされている。この現状を変えることはいつでもできる。契機はいつでもある。しかし、こうした具体的内容を検討するときがまさにいい機会になるのである。また、再三主張しているシーレーンの防衛にもこれは繋がる問題である。国民はこれを真剣に考えるべきである。

 自衛隊は統合運用の流れにあるが、各自衛隊の役割というものもはっきりさせるべきである。それぞれが何を行うことができるのか。それにもあらためて注目することも必要である。各自衛隊の能力を高めて少ない人員で効率よく作戦を遂行することはこれからさらに必要になることであろう。

 また、海軍設置の暁には陸戦隊も必要になると考えている。少し触れておくが、海外で大規模な部隊派遣や迅速な部隊派遣ができないときに機動部隊としてあらかじめ艦船とともに移動している海軍陸戦隊の必要性が高まることは間違いない。単なる上陸作戦だけではなく、海外邦人護衛・輸送、在外公館の警備など陸戦隊がやるべき仕事は多岐に渡る。陸空軍の応援を待つまでの間、機動的に作戦を行うことができるという面で必要であると考えている。海賊対策にも役に立つに違いない。これを機に考えてみるのもよいと思う。




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2008-12-13-Sat- [シリーズ]その時あなたは 終.危機管理体制を強化せよ

[シリーズ]その時あなたは
終.危機管理体制を強化せよ

 インドのムンバイで起きた同時攻撃は世界に衝撃を与えた。日本人も1人が犠牲になり、多かれ少なかれ、日本人もテロの脅威を認識したことであろう。テロの原因や根源を潰すことは重要である。しかし、それと共に直前でそれを阻止、もしくはテロ後の危機管理の実行というものが重要である。テロだけではなく、犯罪、災害など危機管理が必要な状況は多々存在する。日本はそれなりの危機管理体制が整っているのだろうか。

 危機管理と聞いてすぐに思いつく役職は「内閣危機管理監」であろうか。これは、地下鉄サリン事件などを受けてできた役職で国防を除く危機管理を負っている。歴代全員が元警察官である。また、内閣府特命担当大臣には「防災担当大臣」というものが存在する。それ以外には内閣府副大臣、内閣府大臣政務官それぞれの防災担当などがある。組織としては、内閣情報調査室の中に、緊急事態における情報の集約・分析・連絡などを行う内閣情報集約センターが存在する。これは首相官邸の地下にあり、危機管理の初動をここで行うことになる。防衛省、警察庁、消防庁、海上保安庁などからの出向者でも構成されており、各関係省庁とホットラインで結ばれている。

 9.11以降、米国では国土安全保障省が創設された。国土安全保障省は国土防衛や国内危機に対応するための組織である。様々な機関を股にかけて運営しているため巨大な官庁となっている。注目すべきはその隷下に置かれている「連邦緊急事態管理庁 FEMA」である。FEMAに関しては米国内でも批判が多く、また、緊急時のFEMAによる強大な統制権限により警察国家化するのではないかという懸念も多いが、一般に表向きに言われる基本理念を見ていきたい。この組織の裏向きの名目はどうであれ表向きの組織目的は、災害に即応することである。緊急事態において、危機管理を様々な組織に関係なく危機管理を一手に担い、対応することになっている。今回、このコラムではこの理念を参考にして日本で新たな官庁を立ち上げるべきだという主張を行いたい。

 国内におけるあらゆる緊急事態、もしくはそれに準ずる状況が発生した場合に初期危機管理を行う組織として、内閣府の外局として「国家危機管理庁」の創設を提案したい。また、国民保護法に基づく活動を管理するということも業務内容に入れたい。今回は詳細を述べないが機会があれば述べていきたい。

 国を守るために必要な危機管理体制は絶対的に必要である。本来ならば抜かりなく対策を立てておかなくてはならないが、なかなかそうはいかない。しかし、できる限りのことを少しずつやっていかなくてはならない。「そのとき」が来てからでは、もはや手遅れなのである。




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2008-12-12-Fri- [シリーズ]その時あなたは 5.国民保護実施の時

[シリーズ]その時あなたは
5.国民保護実施の時

 2004(平成16)年6月に国民保護法が成立した。これによって、国民保護が実施されることになった。国民保護とは武力攻撃などがあった場合に、国と地方自治体などが連携して民間人の非難や救援などを行う行動のことをいう。国民保護は一体どのようなものなのか。今回はそれを見ていきたい。


●武力攻撃事態・緊急対処事態

 国民の保護に関する基本指針では、4つの武力攻撃事態の類型を定めている。着上陸侵攻、弾道ミサイル攻撃、ゲリラ・特殊部隊による攻撃、航空攻撃の4つである。NBCR兵器の使用も想定されている。

 緊急対処事態とは武力攻撃に準ずる事態のことをいう。原子力発電所やガス貯蔵タンクへの危険が内在する場所への攻撃、人が集まる場所への攻撃、NBCR兵器の使用、航空機などによる自爆テロなどがこれらに当たるとされている。


●具体的行動

 突如、街にサイレンが鳴り響く。武力攻撃を知らせる警報である。(→国民保護に係る警報のサイレン音)そのような事態になったらまずは退避をし、そして情報収集を行わなくてはならない。放送を聴いたり、ラジオやテレビなどから情報を得るのもよい。大量の負傷者が出たり、物資の補給が必要になることもある。住民は協力を求められるはずである。その場合は状況に応じて、人命救助や物資分配などにおいて協力をすべきである。緊急事態では人手が足りなくなる。大規模テロの場合は以前の「テロの恐怖」で紹介したものを参考にしてほしい。

 地方自治体による国民保護訓練は様々な想定の元で、各地で頻繁に行われている。つい先日、11月26日には長野県でサリンを想定とした訓練が実施されており、現実的な訓練として有用なものになった。


●予備自衛官の存在

 自衛隊には予備自衛官という制度がある。正確には、予備自衛官補、予備自衛官、即応予備自衛官の3つに分かれる。災害派遣や国民保護などの活動に実際に携わるのは、予備自衛官と即応予備自衛官である。この制度では、自衛隊経験のない民間人が予備自衛官になる場合、予備自衛官補に採用された後、そこで訓練を受けて定められた訓練をこなさなくてはならない。よって予備自衛官補は訓練のみで実際の活動に参加することはできない。

 予備自衛官は災害派遣や国民保護の活動において大きな役割を果たすことになる。普段は民間人でありながら、非常時には機能的に活動をすることができる貴重な兵力である。これを拡充することは必要なことであり、更なる検討が求められる。


●総括

 今回は国民保護について深く説明しなかったが、国民保護訓練に積極参加し、個人意識を高めることがどんな対策よりも重要である。政府による広報活動を徹底し、認識を深めていかなくてはならない。また、内閣官房の国民保護ポータルサイトなども是非ごらんになっていただきたい。




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2008-12-11-Thu- [シリーズ]その時あなたは 4.増加する凶悪犯罪

[シリーズ]その時あなたは
4.増加する凶悪犯罪

 増える凶悪犯罪。テレビで事件を見ながらも、まさか自分には、と思っている人はいないであろうか。最近の事件を振り返りながらあらためて恐怖を実感してほしい。


●最近の事件から

 皆さんは、日本では銃で撃たれない、爆弾など日本にはない、ここはアメリカではないのだから、などと考えてはいないだろうか。もし少しでもそう思ったらこれから挙げていく事件を思い出してほしい。

 1年前の2007年12月14日。夜にとんでもない速報が入ってきた。長崎県佐世保市のスポーツクラブで、男が散弾銃を乱射して多数が死傷したのだ。事件発生直後、犯人は逃走し、周辺住民は恐怖に陥った。結果的に犯人は自殺したが、人々は「まさか」としか言いようが無かった。

 2008年6月8日。秋葉原は恐怖と血で溢れていた。交差点にトラックで突っ込み、人をはねた上にダガーナイフで人々を無差別に切りつけるという事件が起きたのである。これによって7人が死亡。10人が負傷した。日曜日の歩行者天国でのこの凶行に、ただただ恐怖を抱くしかなかった。

 2008年11月17日。元厚生事務次官を狙った連続殺傷事件が発生した。連続テロの可能性があるとして、厚生労働省などの警備が強化されたが、犯人の自首によって事件は収まった。しかし、いまだ犯人に関して不透明な部分が多い。異例な事件に官庁の人間は恐怖を覚えたに違いない。

 2008年11月には、高知県にあるゴルフクラブなどが爆破され、さらにカシオワールドオープンが行われるゴルフ場に地雷を埋めたとする電話があり、異例の厳戒態勢がとられた。爆破は18日、22日に発生し、手榴弾によるものだと見られている。日本に手榴弾?スポーツにも?と日本人が思った事件だったに違いない。


●日本に安全な場所はない

 以上の事件を取り上げてみたが、これらのきちがいじみた犯行をどのように感じるだろうか。日本にも銃がある。溢れている。手榴弾などの爆発物だってある。簡単につくることもできる。殺人事件は何もナイフのようなもので刺されるだけではない。街にあるありとあらゆるものが凶器となりえるのである。秋葉原のように、車で人が集まる場所に突っ込むだけでも大きな被害を出すことができる。凶悪犯罪は常に身近で起き得るということを我々はよく認識する必要がある。いまや暴力団やヤクザだけが銃などの武器を持っているのではない。日本に武器は氾濫しているのである。

 今回のシリーズでテロの恐怖についても紹介したが、凶悪犯罪よりも、大量破壊兵器によるテロが実施されれば、更に甚大な被害が出ることは間違いない。普段の平和な生活もいきなり破壊されてしまうということをよく頭に入れた上で生活する必要がある。また、子供を狙った犯罪が多発している。まだ長い未来がある子供の命を奪う犯罪は到底許せるものではない。社会での管理体制を強化して犯罪に対応していかなくてはならない。


●総括

 今回は短くまとめたが、犯罪もテロと同様にいきなりやってくる。最終的には個人の意識、対策しだいで様々な局面を迎えることになるであろう。個人意識を高めていくことは、本当に大切なことだと痛感する。また、2009年からは裁判員制度がはじまる。犯罪者をのさばらすか、刑務所に長く入れるかは国民にゆだねられる。凶悪犯罪に対する意識を国民自身が高めていかなければ、犯罪の抑止になることはない。一人ひとり真剣に考えてほしいものである。




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2008-12-10-Wed- [シリーズ]その時あなたは 3.テロの恐怖②~国内テロの時~

[シリーズ]その時あなたは
3.テロの恐怖②~国内テロの時~

 前回に続き「テロの恐怖」をお送りするが、今回は日本国内でのテロについてである。どのような可能性があり、そして日本のテロ対策はどのようになっているのかなどを紹介していきたい。


●日本国内テロの可能性

 日本でテロが起きる可能性はあるのか。もちろん可能性はある。テロと一概に言えないが、先日インドのムンバイで起きたような集団武力攻撃も十分考えられる。まずこの問題を考える前に、脳内にある「今まで何も無かったからこれからも・・・」という思いを全て捨ててほしい。日本は皆さんが思っているほどテロと無縁ではない。

 治安関係者の話によると、日本国内に潜伏している北朝鮮の工作員は約2万人だという。工作員といっても、その中で軍の訓練を受けている本当の精鋭は500人ほどだという。あとは何をしているのか。残りの彼らは市民生活に溶け込んで普通の生活を送っている。仕事にも就いていて、朝鮮人だということも周りに知られていないかもしれない。では何が目的なのか。彼らは指令を待っているのである。本国から指令が無ければ、その仕事を勤め上げて退職して行くものもある。仕事についていると言ったが、例えば電力会社にいて、ひとたび指令がきたら施設内の設備のスイッチ一つ落として電力供給に支障をきたしたりするなどである。このようなことを目的としている工作員が市民生活に溶け込んでいるのである。交通関係、医療、官庁など、社会にとって重要なところに潜伏しているかもしれない。これは脅威としか言いようがない。テロというのはテレビでやるほど派手ではないかもしれないということがお分かりいただけただろうか。明日、電車やバスに乗って隣にいる人がまさに工作員かもしれないということである。

 北朝鮮だけではない。日本には米国関係の施設が多数ある。特に米軍基地がその最たる例である。戦略的に対米工作を実施するために、海外からたくさんの工作員が日本にいると言われている。イランを例に取れば、もしイラン攻撃が実施された場合に正規戦闘で米国にダメージを与えることは困難であるため、奇襲を行ってくる可能性が高い。米国本土でももちろん行われるが、日本でも実施される可能性がある。こうした国際問題が日本にやってくることも十分認識しなければならない。

 工作員は直接テロを起こさないかもしれない。テロリストは外国人ではないかもしれない。市民の弱みに付け込んで工作を行ったり、扇動を行う可能性もある。直接手を下さないために背後にある暗黒勢力がどのようなものかがわからなくなることも考えられる。テロの背景にあるものは普通の国民にはわからない。情報機関の行動も不透明であるし、実際のところはよくわからない。まして自国民が主体的にテロを行うこともある。我々がただわかるのは、テロが起きて人が死ぬということだけである。

 可能性の問題も重要だが、日本は実際に恐ろしいテロを体験している。サリン事件である。サリン事件の背景などはいまだに詳しくはわからない。ただ、ここで考えたいのは化学物質が散布され、多数の被害者が出たということである。危機管理の観点から考えるが、実際にこのようなことが日本で起きている状態で、うかうかと生活できるはずが無い。この過去の経験は危機管理におおいに活かされるべきである。


●テロのその時

 どのようなテロが起きるだろうか。テロリストの側に立って考えてほしい。どのようにテロを起こせば被害を大きく、簡単に、社会的混乱を起こすことができるのか。「テロの恐怖①」で核兵器・放射能兵器に関して言及したが、それと同じほどの恐怖を通常爆弾で行うことができるとしたらどうだろうか。今、この狭い日本の中で危険と隣り合わせにあるのは原子力発電所である。原子力発電所の警備はさほど厳重なものではない。ましてや電力会社は雇っている職員の素性をしっかりと調べているのだろうか。原子力発電所が攻撃を受けて放射能汚染などの恐怖に駆られる人は少なくないはずだ。原子力発電所は基本的に警察や海上保安庁などで警備されている。これで大丈夫かどうかはわからない。まだ攻撃を受けてはいないから・・・。

 都市部でのNBC兵器によるテロは十分に脅威として考えられる。通常の爆弾、ムンバイでの集団襲撃などももちろん想定される。日本に拳銃や爆発物がないということはなく、一つ言えばオウムが保持していたとされる武器はダムに沈んだこととして片付けられて、いまだにどこに行ってしまったかよくわかっていない。こうした事実を知った上でいつどのように攻撃がなされるかということを考えなければならない。テロをする側にしてみれば、地下鉄や鉄道を狙ったテロは非常に効果的だと考えるだろう。爆破かBC兵器により、地下鉄サリン事件のようにテロがあるかもしれない。特に密閉性の高い車内はBC兵器で知らずの内に攻撃される可能性が高い。日ごろの注意が必要である。朝夕のラッシュ時は特に大変なことになる。混乱で秩序が維持できなくなれば、もはや警察も手に負えなくなる。自衛隊の治安出動という選択肢も考えられる。テロが単発で起きれば、テロ現場を封鎖し、汚染があれば汚染除去ということになるが、ムンバイの事例があるように都市が何日間も戦場になる可能性も十分に考えられる。東京各地で同時襲撃が実施されればそれこそ戒厳ものだが、日本には戒厳を敷くことができる法律はない。秩序の維持が難しくなれば新たなテロの標的となり更なる攻撃も予想される。

 ただ、とにかく恐ろしいのはやはり何らかの汚染である。NBC兵器による汚染は想像を絶するものになるであろう。前回述べたように潜伏期間があると、それだけ被害が拡散することになり恐怖から社会は機能しなくなる。被害拡大を抑制することが求められる。

 また、テロ後にとるべき行動は、NBCRテロそれぞれにおいては前回の「テロの恐怖①」を参考にするとともに、自分でもよく調べてほしい。


●テロ対策

 こうしたテロを防ぐには海外からの工作員、テロリスト、武器の侵入を防ぐということが重要になってくる。しかし、本当に阻止できるのだろうか。ここで、北朝鮮による拉致事件を思い出してほしい。これは単なる誘拐事件ではない。完全なテロである。そして、もっと恐ろしいことは工作員が海岸から上陸して人をさらっていったということである。つまり、工作員は日本国内に簡単に侵入できたということであり、この時代のままの警備体制であれば今でもテロリストの侵入が行われる可能性はある。果たして警備体制は強化されているのだろうか。「まさか、海を渡ってテロリストが来るわけがない」という油断は皆さんにもないだろうか。あるなら冒頭で述べたようにそういった心理は捨て去ってほしい。

 水際、空港での阻止は非常に重要である。テロ対策訓練として港で何度も訓練が繰り返されている。再びムンバイでのテロを例に取るが、襲撃をした武装グループは海から上陸したとされ、四面を海で囲まれている日本はその可能性が最も高いだろう。海上保安庁などの取り組みは今後さらに重要性を増していくに違いない。

 テロの阻止は絶対に必要であり、政府もそのことに関してはしっかりと認識しているであろうと信じているが、本当に重要なのは万が一にもテロが起きてしまったときにどうするかではないだろうか。危機管理をしっかりと行わなければ事態を収拾することはできない。また、誰が何を起こしたかを判断するためには事前にある程度の情報も必要である。諜報活動はやはり欠かせない。日本の公安は工作員などの所在を把握しているが取り締まらない。というより取り締まれない。法律がないのである。それとともに彼らを泳がせて活動を監視しているという面もある。

 鉄道に対するテロ対策は絶対に必要である。車両基地にいた車両に落書きがなされた事件を覚えているだろうか。あのように簡単に入られるような状況では、いつ爆弾を仕掛けられてもおかしくない。また、運行中でも駅構内、車内ともに警察官の巡回を強化しなければならない。バスなどのその他の交通機関にも言えることである。


●地下鉄サリン事件での病院の危機管理

 1995年のあの忌まわしいテロ事件。あの時、聖路加病院は今のテロ対策に非常に役立つ活躍をしてくれた。廊下やフロアがとても広く、礼拝堂も備え、いたるところに酸素供給口を設けており、豪華であると非難を受けた聖路加病院。しかしこれらの設備のお陰で、このテロ事件での大量な被害者を受け入れることができたのである。院長の日野原重明氏は戦中の空襲における経験から、大規模な危機に対応できる病院をつくるという考えの下で巨大な建物をつくった。これが功を奏し、人命救助が効果的に行われたのである。危機対策がこれほどよく整った病院はなかなかない。テロ対策を行ううえで、被害がでた後に必要となる医療体制を整えることも非常に重要である。


●総括

 テロ対策を考える上で、テロの阻止は絶対に重要であるが、テロが起きた後のことを考えることも非常に重要である。いまだこの込み入った日本の都市内で大規模なテロが起きたときの対処体制が整っているとは到底思えない。今、必要なことは国外テロ対策支援よりも国内テロ対策の拡充ではないだろうか。また、やはり個人で危機意識を持つことが本当に重要であるように感じる。日常との小さな違いを見つけるという些細なことでも、テロ対策には非常に役に立つのである。そして、訓練などへの参加も必要である。個人レベルの意識を高めていくことが今後の課題であろう。

<[シリーズ]その時あなたは>最終日では、危機管理に関する総合的なNの考えを掲載する。そちらも是非見ていただきたい。




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2008-12-09-Tue- [シリーズ]その時あなたは 2.テロの恐怖①~NBCテロの脅威~

[シリーズ]その時あなたは
2.テロの恐怖①~NBCテロの脅威~

 世界を脅かすNBCR兵器。テロが世界中で横行する中で、この恐ろしい兵器が大規模に使われる可能性が高まっている。今回は、これらの兵器がどれほど恐ろしいか、対処はどうすべきかということに主に焦点を当てて紹介していく。また、今回は個々の説明を深くせず、「その時」に焦点を当て、概要を述べるに留まることを先に述べておく。


●NBC兵器とは

 Nuclear(核)、Biological(生物)、Chemical(化学)兵器のそれぞれの頭文字をとってNBC兵器という。NuclearをAtomicとしてABC兵器ともいう。これらにRadiological(放射能)兵器を加えたものを大量破壊兵器と呼ぶ。


●核兵器・放射能兵器 Nuclear Weapon & Radiological Weapon

 核兵器がテロリストの手に渡れば、地球上どこでも核攻撃の危険性が一気に高まる。現在テロリストの手に核がわたっているかどうかはわからないが、冷戦終結時にロシアの核がいくつかなくなっているということも言われており、世界中で核兵器が完全に管理されているわけではない。ただ、核兵器とひと括りに言っても、テロリストや「ならず者」の手に渡って脅威となるのは小型化された核兵器である。わたらずとも、独自に開発されることもある。小型核兵器が脅威になるのは、かばんに入れて手軽に持ち運べるようになるため、テロリストはいつでもどこでも好きな場所で攻撃を行うことができるようになるからである。もし、都市において核による攻撃があった場合どうしなければならないのか。それを見ていきたい。

 まず、付近で爆発が起きた場合に真っ先に核攻撃の可能性を疑ってほしい。核攻撃は通常の爆発と異なる点がいくつもあるが、もしかすると放射性物質を撒き散らすダーティボムの可能性も考えられる。ダーティボムは放射性物質などを通常爆弾に詰め込み、爆発させることで放射能汚染や社会的混乱を引き起こすために使われるものである。特にこれは小型核兵器よりもテロリストによって使われる可能性が高いのではないかと考えられている。それは、単に放射性廃棄物や放射性物質を手に入れるだけでそれなりの効果を得ることができるからである。テロリストにとっては効果的なものである。とにかく、もし爆発が起きたらそれを疑い、爆発による熱線や爆風での被害を受けていないならば屋内に退避しなければならない。付近に地下施設がある場合はすぐさま地下に入り、汚染から逃れなければならない。地上攻撃であれば爆発後に核の灰が降ってくる。これは放射性物質であり絶対に触れることから回避しなければならない。屋内退避が遅れて、どうしてもまだ表にいなくてはならない場合は、マスクなどを着用して灰を吸わないようにして極力灰を避けるようにする。退避後に汚染された衣服などは、灰が肌に触れないように切るなどしてビニール袋などに入れて処分する。堅牢な建物の屋内にいれば、爆発の直接被害を避けられるのとともに、被曝からも逃れることができる。完全ではないが、屋内にいたほうがよいということは経験からも証明されている。屋内では外界との接触を防ぐためにドアや窓を締め切り、目張りをすることも必要かもしれない。ただ、できるだけ屋内でも奥の奥に留まらなくてはならない。

 地下に退避した後、すぐに表に出てはならない。放射線が満ちている可能性があるため、そのままそこにとどまることが賢明であろう。しかし、一刻も早くそこから逃げたいという気持ちが働くであろうし、被曝を避けるためには地下であってもできるだけそこに留まらないほうがよい。ではどうすればよいか。東京では幸い地下鉄網が張り巡らされている。その時点で地下も破壊されて汚染されていれば移動はできないが、これを使って郊外に退避することは理論上可能である。


●生物兵器 Biological Weapon

 生物兵器は細菌やウイルスなどの病原体と毒物である毒素に大きく分けられる。天然痘、ペスト菌、炭疽菌、ボツリヌス毒素などが挙げられる。生物兵器は費用対効果に最も優れているとされる。簡単なことを言えば、現在多くの人が耐性を持たない天然痘などに感染した工作員が航空機に乗り込むだけで簡単にテロを起こすことができるのである。しかも、新型インフルエンザと同じように次々と感染が拡大して行けば、社会活動は停止する。そして、恐ろしいのは人工的につくられた生物兵器である。現在の人類に耐性のないものを人工的に作り出すことで、テロを実施する側以外の人間はワクチンが無いために新型インフルエンザとは比にならないほどの被害を受けることになるであろう。

 生物テロが起きたことを認識するのは非常に難しい。それは人に症状が出てみないとわからないからである。場合によっては新型インフルエンザとの区別ができないこともあるかもしれない。ただ、何かが散布された、被害状況が加速度的に悪化している、被害が一極集中しているなどの特徴が確認されれば生物テロが起きたことを確認することができる。それにも時間を要するため、危機管理上は非常に難しい判断を迫られる。

 不審物を確認した場合、すぐさまそこから退避することが必要である。米国で起きた炭疽菌事件のように、不審な郵便物が送られてきた場合は開封せず、かつすぐに処分せずにビニールなどで包み、すぐに警察に通報しなくてはならない。万一中の不審物が出てきた場合は、処理をせずに何かで覆い対処する。実際に付近で生物テロが確認された場合は、その場から迅速に退避するとともに感染を防ぐためにマスクなどを着用し、手洗いなどを繰り返し行って汚染を排除することが必要である。

 生物兵器にはインフルエンザなどと同様に潜伏期間が存在する。数時間のものから数ヶ月にまで及ぶものまである。


●化学兵器 Chemical Weapon

 化学テロは化学物質を散布したり、直接体内へ注入することで行われる。日本では実際にオウムによる化学テロが起きている。化学兵器は生物兵器と並んで費用対効果が高いことから、使用される可能性が高いとされる。

 化学テロが行われたことを認識するのは生物兵器と同様に難しい。周囲の異変(動植物、人、臭い、不審物、不審行動など)を察知して行動する必要がある。危険を感じたらその場所から迅速に退避し、安全な屋内に退避するとともにドアや窓を閉めてさらに目張りなどを行うと防護効果が高い。そして、NCRと同様に汚染された服などは肌に触れないように脱いでビニール袋に包んで密閉することが望ましい。また、すぐに効果がでてくる化学兵器とは反対に、生物兵器の潜伏期間のように日数を経てから効果がでてくる化学兵器もある。これはどこでどのようにテロが行われたのかを特定することが非常に難しい。すでに我々もそういった化学物質に接触している可能性もある。


●総括

 ある程度の脅威と対策はわかっていただけただろうか。これまで挙げてきた兵器がいつ日本で使われてもおかしくない。そこで、明日のテロの恐怖②では日本国内でのテロについて紹介していきたい。





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2008-12-08-Mon- [シリーズ]その時あなたは 1.新型インフルエンザの恐怖

[シリーズ]その時あなたは
1.新型インフルエンザの脅威

 今、世界は新たなパンデミックを恐れている。もし、新型インフルエンザの人に対する感染が確認されれば、世界は大混乱に陥るだろう。第1日目はこれから起こりうる新型インフルエンザの恐怖についてである。


●鳥インフルエンザ

 今騒がれている鳥インフルエンザ(H5N1亜型)というのはすでに人への感染が確認されている。日本では鳥への感染だけでなんとかおさめているものの、衛生状態の悪い地域で流行する恐れもある。そもそも鳥インフルエンザというのは過去に幾度も発生し、形を変えて時によっては人への感染も確認されている。最近発生している鳥インフルエンザだが、ある事例ではH5N1亜型への感染を疑い検査をしたところ、陰性反応がでた。これによって、すでにH5N1型とは違う型が発生しているという懸念もある。鳥インフルエンザが人に感染しやすいものに変異して新型インフルエンザのパンデミックに繋がることもある。また、鳥インフルエンザが豚に感染し、人間がかかったインフルエンザもその豚に感染した際に、豚の中で変異が起こりそれが人間に感染するという可能性もある。


●新型インフルエンザの猛威

 WHO(世界保健機構)によると、新型インフルエンザのパンデミックが発生した場合、世界中で最大1億5000万人の死者が出る恐れがあるとしている。米国疾病予防管理センターの推計モデルをもとにすると、日本国内においては羅患3200万人、死者17~64万人が出ると予測される。210万人が死亡するかもしれないと観測するシンクタンクもある。新型インフルエンザはいつパンデミックしてもおかしくはない。新型インフルエンザは、既存の毒性の強いインフルエンザウイルスが人体に感染しやすいものへと変異して、それが人から人へ感染すると瞬く間にパンデミックが発生する。特に、100年、200年前と比べて航空機の発達や人の移動の増加によって格段にパンデミックのリスクが高まっている。地球の反対側からウイルスがやってくるのに時間はかからない。それが次なるパンデミックの恐ろしいところでもある。


●WHOによるフェーズ分類

 ここで、WHOが策定している各フェーズの定義を紹介しておく。

 ・フェーズ1…人への感染リスク低(トリ→トリ)
 ・フェーズ2…フェーズ1よりリスク高(トリ→トリ)
 ・フェーズ3…ごく一部(家族内など)でのヒト→ヒト感染あり
 ・フェーズ4…ヒト→ヒト感染の小さな集団あり
 ・フェーズ5…ヒト→ヒト感染が拡大しているが依然大流行はしていない
 ・フェーズ6…パンデミック(ヒト→ヒト増加)、2回目の大流行までの期間と2回目のパンデミック

 フェーズ決定はWHO事務局長が逐次行う。現時点でのフェーズは3となっている。


●ワクチンの効果

 新型インフルエンザのパンデミックがある前にワクチンが欲しい、と思うかたがいるかもしれないがそれは不可能である。何故なら、新型インフルエンザの感染が確認されなければそれに対するワクチンを作りようがないからである。しかも、パンデミックが起きたとしても、その新型に対するワクチンができるまで最低でも6ヶ月かかるとされることから、国民がすぐにワクチンを摂取することはできない。ならばもうどうしようもないではないか、という声が聞こえそうだが手だてはないのだろうか。

 現在、全国における抗インフルエンザウイルス剤「タミフル」などの備蓄率は全人口の23%である。今後、厚生労働省は与党からの提言を受けて45%まで引き上げるとしている。ただ、タミフルは新型インフルエンザに対する効果はわからない。ある程度のもしくはごくわずかの効果はあるにせよウイルスが全くの別物であれば効果は期待できない。インフルエンザ治療薬ザナミビル、商品名「リレンザ」はA型・B型インフルエンザウイルスに効果があるものである。「リレンザ」はタミフルが効かないインフルエンザウイルスに効くとされ、新型インフルエンザに対する効果もタミフルより期待されている。しかし、治療薬では感染を抑えることはできない。 また、タミフルは48時間以内に摂らなければ効果が無いとされる。そして、T-705という新しい抗インフルエンザ薬もあり、実用化が期待される。

 現在、今までのウイルスをもとにしてワクチンが作られている。これは最近ヒトへの感染が出ている鳥インフルエンザH5N1亜型ウイルスから作られているものであり、プレパンデミックワクチンという位置づけになる。国はこれを20年度までに3000万人分備蓄するとしており、さらにほかのウイルスをもとに別のプレパンデミックワクチンも作られる。しかし、これは広く一般国民にいきわたるものではない。社会機能の維持をはかるためにワクチン接種の優先順位が決められているのである。政府試案詳細を別に設けたのでそれを見ていただきたい。 (→プレパンデミックワクチン摂取優先順位

 概要を簡単に述べておく。まず、試案ではカテゴリーが3つに分けられている。カテゴリーⅠは新型インフルエンザ発生時に即時に第一線で対応する業種・職種、カテゴリーⅡは国民の生命・健康・安全・安心に関わる業種・職種、カテゴリーⅢは国民の最低限の生活の維持に関わる業種・職種である。医療従事者や治安関係者、行政の長などが主に優先順位が高くなっている。摂取時期についても現在検討されている。


●その時日本は

 国としては、新型インフルエンザによる感染が確認されれば、総理大臣を本部長とする対策本部が設置される。海外で感染が確認された場合には、公衆衛生的対応として空港や港での検疫などが行われる。また、感染拡大後にパンデミックワクチンを製造し、国民に配布するとしている。

 交通機関が発達したこの今の時代において、世界中を瞬時に移動することができるようになった。それゆえ、新型インフルエンザウイルスにも同じことが言える。潜伏期間中に自分が感染していることに気づかず、海外から日本国内に入ってきたときが一番恐ろしい場合である。WHOでは新型インフルエンザの人への感染が確認されたら、その半径5キロを封鎖する計画を立てている。日本で感染が確認されれば約1週間で全国に広がるというから恐ろしい。感染を知らずに動き回ってしまえば感染はどんどん拡大する。実際に、くしゃみ一つでも、電車の車両の端から端まで飛まつが届いてしまうほどである。感染を防ぐために、人の密集を極力避ける対策が必要になる。学校が休校となったり、映画館などの施設は営業を取りやめることになる。公共機関の使用も抑制される。病院は全ての患者を受け入れることができないため、重症患者のみを受け入れることになる。社会は大混乱に陥る可能性がある。特に、スーパーマーケットなどに、不安を覚えた人たちが食料を求めて押し寄せるかもしれない。


●その時あなたは
 
 もしも感染したらどうすればいいのか。厚生労働省は、発熱などの症状を感じるなどの異常を少しでも感じ取ったら病院には行かずに保健所に相談してほしいとしている。これは、感染者が病院に押しかけることで感染拡大の危険性があるからである。パンデミックが起こったら、自宅へこもることが望ましい。外界との接触を極力避け、一時的に収束するのを待つべきである。家庭内であってもマスクを着用し、空気の入れ替えなどを行うことも有効であろう。


●現在の対策

 2008年11月28日の関係省庁対策会議において、政府は新型インフルエンザ対策の行動計画を改定することを決定した。これにより、流入阻止という対策から感染を前提とした拡大抑制を重視する方針を示した。さらに、WHOのフェーズ分類ではなく、国内の発生状況に応じて「未発生期」「海外発生期」「国内発生早期」「感染拡大、蔓延、回復期」「小康期」の5段階(1+4段階)に分けることを決定した。

 また、新型インフルエンザを想定した訓練が日々行われている。最近の訓練をあげると、11月18日の新潟県における対応訓練、27日の成田空港での水際対策訓練などがある。新潟県での訓練では、新型インフルエンザ専用の「発熱外来」の設置が行われ、トリアージの訓練、行政から民間企業への情報伝達訓練も行われた。「発熱外来」は新型インフルエンザ患者とそれ以外の患者を振り分けるために臨時で設置されるものである。12月5日には川崎市で、この「発熱外来」を設置する訓練が行われている。成田空港で行われた訓練は厚生労働省成田空港検疫所が主催し、旅客機内での感染を想定して行われた。 これら以外にも各空港や港、病院などで訓練は随時行われている。

 地方自治体での自主的な対策も行われている。東京都では年内にもタミフル200万人分、リレンザ200万人分の計400万人分の備蓄を行う見通しである。埼玉県さいたま市では、県とは別に独自で全市民の約25%にあたる30万人分のタミフルを購入するとしている。市民の治療用に調達するのははじめてだという。新潟県阿賀野市では、瓢湖(ひょうこ)で野鳥が陸にあがって直接人と接触しないように防護ネットをはるなどして対策をしている。

 次に個人的対策を紹介しておく。日ごろから手洗いうがいやマスクをすることは個人レベルとして有効なことである。せきやくしゃみをするときには、飛まつが飛ばないようにマスクをするか、ハンカチやティッシュで鼻と口をふさいでするなどのマナー意識を持つことは常識である。また、体調管理なども重要である。そして、その他の災害対策と同様に災害用品を用意することや、食料や解熱剤などを最大2ヶ月分備蓄しておくことが重要である。そのほかにも、実際の状況を想定した自治体が行う訓練などに積極的に参加し、実際の動きを確認しておくことや日ごろから知識を蓄え、家族などで話し合うことも必要である。


●総括

 いまだに完全に行動計画が策定されていないことに関しては不安が残るのは確かである。これは国の存亡に関わる重大な問題である。国に危機管理意識が足りないことは誰の眼にも映っている。プレパンデミックワクチンを国民全員分用意し、いつ起きるかわからないパンデミックの前に行動計画を完成させ、最大限の準備を整えることが求められる。また、新型インフルエンザに関する知識がまだまだ国民に足りないのではないかという不安もある。広く国民に周知徹底することが確実に必要である。国は広報を様々な形で行い、国民は自分が何をすべきかを正確に把握することが重要である。




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2008-12-07-Sun- [シリーズ]その時あなたは 0.はじめに

[シリーズ]その時あなたは
0.はじめに

 今週は、1週間にわたって<[シリーズ]その時あなたは>をお送り致します。Nにとって初めてのシリーズです。
 国民生活を直撃するテロ、病気、凶悪犯罪などの危機が近年、噴出しています。<[シリーズ]その時あなたは>では、日々他人事のようにニュースを見ている日本人にも危機意識をもってもらうために、市民を直撃する脅威を紹介していきます。もう他人事では済まされない、迫り来る恐怖。今回は、始めにはっきりと申しますが、恐怖を煽り危機意識を皆さんに持っていただくことを目的としています。どうか1週間お付き合い下さい。では・・・・・




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2008-12-05-Fri- 米海軍横須賀基地現地リポート

 12月6日(土)に米海軍横須賀基地に行ってきました。1日の様子を紹介させていただきます。

●0600時
 クリムゾンタイドのテーマで目を覚ます。1日の始まりの合図である。

●0830時
 T氏と京急線汐入駅にて合流。決意新たに。

●0900時
 開門。長蛇の列を進んでいく。途中、日本人警備兵に身分証の提示を要求され、緊迫する場面も。ジョージワシントン目指し歩く。

●目玉:航空母艦ジョージワシントン



ジョージワシントン飛行甲板

ジョージワシントン絵画

ジョージワシントン

ジョージワシントン

73

GW装飾


●基地風景


富士山

兵士と軍用犬


●護衛艦「しらね」


護衛艦「しらね」

しらね排水

しらね 主砲と国旗






注:今後、少しずつ更新します。司令部内にも現地リポート特集をいたします。





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2008-12-05-Fri- 荒れるアフリカ情勢

 コンゴでの紛争はどうなっているのか。今月3日、反政府勢力である人民防衛国民会議のヌクンダ司令官がコンゴ東部の北キブ州知事との会談に合意したという。これまで会談を拒否してきたが、態度を一変させた。これを和平の糸口にしてほしいがあまり期待できないかもしれない。

 今月2日には欧州連合外相会議のあとで、ベルギーの外相が国連コンゴ監視団支援を目的とした欧州連合部隊派遣を見送る方針を示している。現地では依然難民が溢れ、衛生状態も良くないと見られ、一刻も早く支援が必要な状況である。みなさんには、Nの司令部内にある特集を是非見ていただきたいと思う。

 次はジンバブエ情勢だが、現在危機的な状況である。コレラによる死者が増大しているのだ。3日のジンバブエ政府の発表で560人の死者が出ている。そして、病院は医療スタッフの職務放棄で機能していないという。ジンバブエ政府は非常事態を宣言し、国際社会への支援を求めている。これを受けて、ユニセフが緊急対策を実施するとしているがそれだけで大丈夫なのだろうか。また、南アフリカ国境でコレラ菌が見つかっており、支援団体は南アフリカにも感染が広がっている可能性が高いとしている。国境を越えたさらなる感染拡大も時間の問題かもしれない。

 最後はスーダンに関するものであるが、3日の安全保障理事会で国際刑事裁判所(ICC)のモレノオカンポ主任検察官は、スーダンのダルフール地方でスーダン政府が依然として虐殺を認めていると非難した。同主任検察官は、毎月5000人以上の非難民が死んでいるとも指摘した。7月には、モレノオカンポ氏が10の容疑でスーダン大統領に対して逮捕状を請求しており、現在審査中で来月にも結果がでる予定である。

 スーダン南部にはUNMIS要員として陸上自衛官2名が派遣されている。日本も「平和協力国家」として真剣に考えるべきではないだろうか。




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