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2009-04-13-Mon- [シリーズ]ロシア軍の今 1.ロシア軍近代化計画の背景(前編)

 シリーズ初日はBSの番組「きょうの世界」で扱われた内容を文章にしてその前半部分をそのままお伝えします。1回目と2回目のタイトルは、きょうの世界の特集で使われたものを使用しています。

注:以下の文章で斜体部分が書き起こしたものです。途中に解説を入れていきます。後半の対談部分は一部文章を直してあります。また、編集上省いた部分もあります。





ナレーション:戦略核戦力を含めた、軍備の大規模な近代化に取り組む考えを示したロシアのメドベージェフ大統領。イギリスBBCは西側諸国がめったに撮影することのできないロシア軍の基地に入り、近代化を迫られる軍の実態に迫りました。

ナレーション:ロシア軍の内部に今何が起きているのか。その現状をみていきます。


市瀬卓(いちのせ・たく)キャスター:強いロシアの復活を目指しているロシアが、大規模な軍の再編と近代化に乗り出しました。ロシアが今、軍の近代化を進める狙いはどこにあるのかを考えます。

丁野奈都子(ちょうの・なつこ)キャスター:これからご覧いただきますのは、ロシア軍の近代化についてイギリスBBCが制作したリポートです。BBCはロシア国内の二つの基地を取材。一つは、エストニアとの国境近くにあるプスコフ基地。エリート中のエリートと言われる第76空挺部隊が配置されています。そしてもう一つはモスクワ南部のリペツク空軍基地です。ロシア最高レベルのパイロットの育成を行っています。

russia 1



ナレーション(翻訳):ロシア軍が空から作戦を展開するとき、前線に送られるのは栄光の第76空挺部隊。エリート中のエリートです。彼らのモットーは、「勝利あるところに我らあり」。

第76空挺部隊リューティッチ中佐:部隊に所属することを兵士全員が誇りにしています。


russia 2


解説:ここでの第76空挺部隊とは正式にはロシア空挺軍第76親衛空挺師団のこと。


ナレーション:ロシア軍では、徴兵制が採用されていますが、この部隊の兵士の多くは職業軍人。装備も訓練もハイレベルです。ロシアは、西側諸国との戦闘に備え、この部隊のような体制をすべての部隊で整えたいとしています。そのため、ロシア革命以来となる、軍の大改革に着手しています。広範囲に及ぶ軍の改革は静かに進められています。


軍事アナリスト ゴルツ氏:軍が改革を行っているとはだれも言いません。みな、改革と言う言葉を使うことを控えています。しかし、政治家たちは、ロシアの軍隊が無能であり、戦時には使いものにならないと気づいているのです。

russia 3


ナレーション:ロシア軍が勝利したグルジア侵攻。しかしロシアはこの戦いで近代的な装備を持つ軍と初めて戦い、自軍の問題に気づいたのです。戦車の多くは、前線に到着する前に壊れていました。道に迷った部隊もありました。グルジア軍の戦車と違い、ナビゲーションシステムが装備されていないからです。

 軍備の近代化より難しい問題が、異論反論が飛び交う抜本的な軍の構造改革です。実際に訓練を行っている部隊もありますが、書類上でしか存在しない部隊も数多く存在します。装備がなく、部下もいない士官がたくさんいます。数万、数十万の指揮官らが解雇され、部隊も廃止となるでしょう。そのため、多くの人が反対しているのです。

 ロシア軍の構造は今でも九十年前のトロツキーの時代と変わっていません。戦時に予備役を召集する兵士に対し、平時から軍が抱える士官は余っています。士官の数は兵士100人に対し、40人。西側諸国の軍のおよそ2倍です。

 ロシア軍はすべての兵士を職業軍人とする一方、3分の2の士官を削減する予定です。これにより20万人の職が失われるとみられています。

 政府の軍再編計画に怒りを示す政治家や、軍の上級幹部も出ています。公の場での発言を控えている軍最高幹部のマカロフ将軍に質問することができました。

記者:すべての兵士を職業軍人にできるのですか。
マカロフ参謀総長:徴兵制や軍の組織などあらゆる面で検討を続けている。新たな軍の編成を行うには全てを考慮しなければならない。

ナレーション:目的がはっきりしない改革は意味がありません。しかしロシアでは今のところこの問題についての話し合いは行われていません。この改革によって注目すべき結果が生まれるとも言われています。

 士官の削減は大量動員という戦法を捨てることを意味します。欧米諸国に対し、通常兵器による戦争を行わないということです。ナポレオンの時代から続くロシアの戦術が転換されることになります。

ゴルツ氏:大量動員という戦法を完全に否定するということはロシアの主導者がNATOを仮想敵国とみなしていないということです。これは驚くべき変化です。ロシアの指導部は現実に気がついたのだと思います。本気でNATO軍に軍事力で対抗しようとしたら、ロシアを疲弊させるだけだということに気がついたのでしょう。

ナレーション:通常兵力で優位に立つ代わりに、ロシアは入念な外交を展開しようとしています。新たな脅威と立ち向かうため、装備の刷新も進めています。

 モスクワ南部にあるリペツク空軍基地です。

russia 4


 講義を受けているのはロシアのトップガン。最新鋭戦闘機の能力の確認を行います。

 これまでは欧米諸国を仮想敵に長距離飛行ができる戦闘機に予算が費やされましたが、今では南部の国境などが戦場になると仮定し、短距離飛行を念頭に戦闘機の開発、配備が行われています。これらの戦闘機は中央アジアのイスラム武装勢力との戦いなどで必要とされるでしょう。こうした戦いでロシアの存在感を高めることが狙いです。

ココシン元副国防相:ロシア指導部はもはやアメリカが唯一の超大国ではないということを学んだのです。たとえばフランス軍はアフリカで活動しています。国外での活動がフランスに許されるなら、ロシアも許されるべきでしょう。我々は旧ソビエト地域などに戦略的利権を持っています。ロシアは必要であればその利権を守るために軍事力を行使します。欧米の大国が行ってきたようにね。


丁野:今のBBCのリポートからはロシア軍の進める近代化について三つのポイントが見えてきます。まず一つ目が組織のスリム化のための兵力の削減。二つ目は老朽化した装備の近代化。そして三つ目が大規模な戦闘ではなく、地域紛争を想定した組織の改編です。

(画像は全てきょうの世界より)

 初日はここまでです。後編はまた明日お伝えします。




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2009/04/13 20:48 | なお [ 編集 ]


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